心理学とスピリチュアリティ・オカルトの交差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 14:44 UTC 版)
「ニューエイジ」の記事における「心理学とスピリチュアリティ・オカルトの交差」の解説
ウィリアム・ジェイムズ(左)とユング(右) マリリン・ファーガソンは自著『アクエリアン革命』で、アメリカの心理学者ウィリアム・ジェイムズ、スイスの精神科医カール・グスタフ・ユングといった、意識の拡張と自己超越経験に基づく変容という未来像を作った先駆者たちを扱っている。ジェイムズは宗教は教義ではなく経験と定義し、心の在り方を変えることで自分の運命を作り出すことができると説き、ユングは集合的無意識という概念を考案し、「心理学の神聖化」に貢献した。これは、ニューエイジの思想と実践の重要な要素になっている。 心理学とスピリチュアリティの交差は、1960年代末にかけてエスリン研究所で発展した人間性回復運動に強く見られ、東洋の宗教とユングから大きな影響を受けたトランスパーソナル心理学が発展し、自己の「内なる神」の探究、自己を乗り越え、自己であるところの神となることを目指した。そのための至高体験、宇宙と融合するための神秘体験が求められ、瞑想、超心理学的経験、幻覚剤の使用などのセラピーが行われた。 幸福と成功のために自然や宇宙と波長を合わせ、つながり、存在の大いなる連鎖(英語版)の中、宇宙の中に自分の場を見出すことが重視され、こうして宇宙的な意識を見出すことが救いであるとされた。心理療法はそのための旅であり、自己救済・意識の統一と覚醒に至るための技術である。神性は自己の内にあると考えられたため、完全な他者である神・外部からやってくる啓示や救いは必要ないと考えられた。(その一方でチャネリングによる啓示は重視されていた。)心は一つであり、全ての心がつながっており、宇宙的存在であるため、人はチャネリングで高次の存在と交信できると考えられた。ニューエイジの指導者やセラピストたちは、宇宙のあらゆる要素の照応を見出すための導きを与えるという。そのための理論はそれぞれ異なっている。 占星術やタロットといった現代でオカルトと呼ばれるような実践は、ニューエイジを経由して、人間性回復運動と人間性心理学の大きな影響を受けて変容し、占いというだけでなく「自己変容」の手段となった。そのため現代の占星術師には、運勢を占って行動のアドバイスをするタイプと、依頼者が自己をより深く理解するよう導く疑似セラピストのタイプがあり、ほとんどの占星術はこの2極の間に存在している。人気のウェイト版タロット(1910年)はユング心理学の元型と類似点を持つテーマを中心とした聖書の物語の絵が描かれており、タロットが今日ではセラピーの道具であること、それが最も一般的な使い方であることが分かる。
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