影響と批評
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 05:12 UTC 版)
相田は長く不遇であり、師匠の紀野一義によると、詩の文言が顧客に受け入れられずに長く苦しんだという。晩年の大衆的人気と商業的な成功とは裏腹に、文学や書の分野で相田の作品が評論されることはあまりなく、詩人の高橋順子は「相田作品は処世訓のようなもの」、思潮社代表取締役であり詩人でもある小田久郎は「今は分かりやすいものが受ける時代。詩は難解であっていい」、現代詩作家の荒川洋治は「実用的で即効性のあるものが求められているのを感じる。でも、自分がどう生きるのか、長い時間をかけて考えさせてくれるのは文学しかない」と、おおむね否定的である。奥本大三郎は「素直に言ってこの相田みつをと言う人の、わざと下手に書いて人に阿(おもね)るような字も、それを紙に書きつけた、人の心の底の劣等感をごまかすような文句も私は嫌いである。上手に書ける字をわざと下手に書く人には何か魂胆がある、と警戒したくなる」などと厳しい。 一方、詩人の杉山平一は「相田みつをを詩人として認めるべき」であり「大勢の人に相田作品が読まれている現実を、無視するわけにはいかないでしょう。むしろ詩人は、独りよがりになりすぎた現代詩の反省材料として、相田ブームを見るべきではないか」と述べた。作家の立松和平は相田を「思想の語り部」と評し、「難しい言葉を一つも語らないで、仏教の根本的な哲理のようなものを語ってしまう。そして、それを読んだ人に『なにかが残る』んですね。残る――ということは、その先の世界があるということです」と語った。行動経済学研究の第一人者であるリチャード・セイラー(en:Richard Thaler)は「彼の残した書の言葉は実に素晴らしく、心を打たれました。印象に残ったのは、“しあわせはいつもじぶんのこころがきめる”というフレーズと、“にんげんだもの”です。行動経済学に通じるものがあります」と語り、相田の人に対する洞察が行動経済学が想定する「人類」をうまく表現していることを指摘した。
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