強まる犯罪の多国籍化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 16:28 UTC 版)
2010年版の日本の警察白書では国内組織との結託を指摘した。 警察庁は、犯罪組織の構成員や被害者、犯行場所が多国籍化する「犯罪のグローバル化」の分析と対策を柱にした2010年版の警察白書を公表した。世界的規模で活動する犯罪組織が日本を標的にする傾向が強まっていると警戒している。 外国組織による犯罪は従来、短期間来日して盗みなどをして日本国外へ逃げる「ヒット・アンド・アウェー型」が主流だった。 これが、暴力団など日本国内の犯罪組織と連携、日本国内にある「犯罪社会基盤(犯罪インフラストラクチャー)」を基盤に恒常的に犯行を繰り返す形態に変化と変貌を遂げたと分析している。 犯罪インフラには不法滞在の外国人が犯罪を目的とする地下銀行と不法就労や不法滞在を目的とする偽装結婚の犯罪組織のほかに、3大都市圏(東京・名古屋・大阪)と政令指定都市を含む地方都市郊外の「ヤード」などと呼ばれている自動車解体施設(解体屋)なども挙げられる。都道府県の警察本部の捜査員は2010年6月に全国で合計400箇所以上の「ヤード」に一斉立ち入りを行ったが、グローバルに展開する日本国内の外国人犯罪の拠点になっていないか実態を解明する目的も大きかった。 日本国内における外国人犯罪の検挙者数は、2009年には約13200人とピーク時の2004年よりも約40パーセント以上も減少した。 しかし、日本国内における外国人犯罪は複数の国籍にまたがる外国人犯罪の傾向が強くなっており、日本人(日本国民)よりも複数犯の犯罪の比率が高いなど解明が困難な事情もあり、2010年版の日本の警察白書では「日本国内の外国人犯罪のグローバル化の犯罪状況は統計上の数字では把握が不可能である」と指摘している。 警察庁は2010年2月に、庁内に外国人犯罪関連情報を集約、分析する部署を設置した。東京都を管轄する警視庁を始め、道府県警察本部にも専門部署を設置して、捜査員を事実上の統合運用を行うことで、都道府県境や国境を越える外国人犯罪の犯罪者の行動に対して、より迅速に対応できる総合的な、統合的な外国人犯罪事件における捜査体制の確立を進めている。
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