廣田の主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:17 UTC 版)
「京都・大阪連続強盗殺人事件」の記事における「廣田の主張」の解説
一方、廣田は1987年10月から開始された被告人質問で、「出所後、3つの犯罪を実行するつもりだった。昔の貸金を恐喝してでも取ること。その金で覚せい剤の密売をすること。最後に前回の郵便局強盗事件で取り調べに当たった京都府警の捜査員の両目をつぶしてやりたい、と思った」と陳述した。また、「一連の事件が発生した当時は警察官時代、ともにノミ行為などを行っていた男性(以下『X』)とともに行動しており、京都事件当時(9月4日12時50分ごろ)はアリバイがあった。その後、Xと2人で京阪電車で京橋駅に向かったが、同駅に着いたのは大阪事件の発生後だ」と、両事件についてアリバイがある旨を主張した。しかし大阪地裁 (1988) は、廣田がXの電話番号などを明らかにできなかったことや、司法警察員が作成した「Xの所在捜査結果について」と題する書面によれば、Xが居住していたという京都市南区内には1983年1月以降、そのような人物が住民登録をした事実はないと認められることなどから、「Xが存在すること自体に裏付けがない」と指摘。6年以上も前の「ノミ行為の未回収金を取り立てる」という点や、廣田の「8月30日にXから回収を依頼され、9月4日までにほぼ全額の1,500万円近くを回収し終わった」という主張もそれぞれ不自然で、そもそも「ノミ行為」の未回収金が存在していたことを裏付けるメモなどの証拠も何ら提出されていない点から、廣田のアリバイ主張を「到底措信できないばかりか、虚偽の供述といわざるを得ない」と断じている。 捜査段階における自白についても、「大阪府警の取調官による暴行に耐えかねて虚偽の自白をした」と弁解し、殴る蹴る、タバコの火や焼けたトタン板のようなものを手に押し付けられる、自慰行為を強要される、陰茎を蹴りつけられたり睾丸にライターの日を近づけられたりするなどの暴行を受けたり、自白しないと「父親の墓を捜索する」と脅迫されたりした旨を主張した。 実際、廣田が大阪拘置所で弁護人と接見した際、廣田の手足に傷があることが確認されたり、1987年11月25日に廣田が弁護人に宅下げしたズボンに、廣田と同じ血液型の人血や精液が付着していたりなどの事実も確認されたが、大阪地裁 (1988) は廣田が「タバコの火や熱したトタン板様のものを体に押し付けられた」と主張している点について、弁護人と接見した際に訴え出ていない(弁護人もそのような火傷を確認していない)点や、拘置所でも火傷の治療をしたことがない点、「取調官から自慰行為を強要された」という点も取り調べ当時は弁護人に訴えておらず、その証拠とされたズボンも公判中の1987年11月まで着用していたと見られる(その間、廣田自身が血液や精液を付着させることも可能だった)ことなどから、「火傷をさせられる拷問を受けた」「自慰行為を強要された」という主張については「虚偽の供述」と認定している。その上で、当時の取調官による「廣田は取調べ時、警察官のネクタイを引っ張ったため、別の警察官が制止したところ、ネクタイを引っ張られた警察官だけでなく、廣田も指に怪我をした。また、廣田は取調べ中、廊下に出て自ら窓ガラスを割り、指を切ってかなり出血したことがある」という証言(参照)を「各種証拠から信用できる」と認定し、廣田の供述の任意性を認定している。
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