幻の完全試合・二度のノーヒットノーラン未遂
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「西口文也」の記事における「幻の完全試合・二度のノーヒットノーラン未遂」の解説
西口は、完全試合またはノーヒットノーラン達成まで「残りアウト1つ」の場面で、いずれも「28人目の打者」を相手に安打を打たれて大記録達成を逃し完封・完投どまりになったことが3度ある。すなわち、「相手打者27人」を3度「無安打無得点」に抑え、そのうち1度は「パーフェクトピッチング」だった。以下に概要を記す。 2002年8月26日、対千葉ロッテマリーンズ戦(西武ドーム) 福浦和也に四球を1つ与えた以外は完璧な投球内容で、9回二死までロッテを「無安打無得点」に抑えていたが、この日の「28人目の打者」である小坂誠に中前打されてノーヒットノーランを逃した。次のサブローにも右前打されたが、何とか後続を抑え、被安打2・与四球1の6-0での完封勝利を飾った。 2005年5月13日、対読売ジャイアンツ戦(インボイスSEIBUドーム) 西武時代のかつてのチームメイト(1995年 - 1996年)だった清原和博に与えた死球以外は走者を許さず、9回二死まで巨人を「無安打無得点」に抑えていた。しかし、この日の「28人目の打者」である清水隆行にスライダーを右翼席に弾き返され、ノーヒットノーランはおろか、完封さえ逃した。後続は断ち、被安打1・死球1の6-1での完投勝利だった。完全試合またはノーヒットノーランを達成していれば交流戦初、西武ドーム初の達成者だった。 2005年8月27日、対東北楽天ゴールデンイーグルス戦(インボイスSEIBUドーム) この日の西武は守備陣も無失策で試合を進め、西口自身も二度の「未遂」の時以上の好投により、9回終了まで相手打線を「完全に抑える」試合内容であった。しかし生憎、相手投手の一場靖弘の178球の力投の前に西武打線が沈黙。9回裏も西武は得点することができず9回終了時0-0、このまま試合は延長戦に突入した。10回表のマウンドに上がった西口は、この回の先頭打者、この日の「28人目の打者」である沖原佳典に右前打を許し、完全試合・ノーヒットノーランの快挙をいずれも逃した。このように、9回終了時まで「完全試合」を続けるも味方打線の援護なく0-0のまま、続く延長回で被安打を喫し完全試合を逃した例はNPB史上初である。同様の形でノーヒットノーランを逃した例としては9人目であった。 その後は山﨑武司に四球を出すも、西口は相手を無失点に抑えた。続く10回裏の冒頭から登板した楽天の福盛和男から石井義人がサヨナラ適時打を打ち、試合は10回被安打1・与四球1の1-0での完封勝利となった。仮に西口がパーフェクトピッチングを続け、西武の打線の援護でサヨナラゲームを決めれば、1973年8月30日に江夏豊が中日ドラゴンズ戦で達成して以来の2度目の延長戦ノーヒットノーラン、延長戦完全試合は史上初の達成、32歳11ヶ月では史上最年長(藤本英雄の32歳1ヶ月が最年長)となるところであり、完全試合自体も1994年5月18日の槙原寛己の完全試合から約10年ぶりの完全試合となるところだった。 なお、現在この記録は完全試合の参考記録とされている。 被安打1の「準」完全試合 1996年9月23日の対近鉄バファローズ戦(西武球場) 上記の3試合のほかに以前にも、西口には被安打1の「準」完全試合ともいえる投球内容をしていた経験がある。この試合の西口は、初回に2番打者の水口栄二に安打を打たれたものの後続を全て抑え、打者28人を相手に被安打1の10奪三振、うち8連続奪三振の活躍(当時の日本記録は9連続奪三振)で6-0の完封勝ちを挙げた。このときの西口は1度目の「準」完全試合ともいえる投球内容だった。 2015年9月23日に行った西口の引退会見でも、「日本シリーズ未勝利と共にノーヒットノーランを達成できなかったことが心残りである」と述べた。 2022年5月6日、中日ドラゴンズ対阪神タイガース戦(バンテリンドーム)において、中日の先発・大野雄大が9回終了まで相手打線を完全に抑えながらも、0-0で延長戦に突入してしまい、そこで被安打を喫して完全試合達成を逃すという、2005年8月の西口のケースからNPB史上2度目となる出来事が発生した。その回の裏で中日はサヨナラ勝ちしており、西口同様、大野も完封勝利が記録されている。この試合の終了後、西口は「僕と一緒ですね」「1本打たれた後の方がさらにギアが入った」「大野投手も同じ気持ちだったんじゃないですかね」と球団を通じてコメントしている。なお、西口も大野も同じ9月26日生まれであることも取り上げられた。
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