平安宮豊楽殿跡出土品とは何？わかりやすく解説 Weblio辞書

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平安宮豊楽殿跡出土品

主名称：	平安宮豊楽殿跡出土品
指定番号：	564
枝番：	00
指定年月日：	2005.06.09(平成17.06.09)
国宝重文区分：	重要文化財
部門・種別：	考古資料
ト書：
員数：	一括
時代区分：	平安
年代：
検索年代：
解説文：	平安宮豊楽殿跡は、京都市中京区聚楽廻町に所在する。豊楽殿は、平安宮（大内裏）の一角に設けられた豊楽院の正殿で、朝堂院の西側に隣接して設けられ、主に国家的な儀式の饗宴の場として使われた。　この豊楽殿跡は、近隣での発掘調査や、過去の遺物の出土、さらに現地表面の起伏等から、その位置が推定されていた。この地で宅地開発が行われることになり、昭和 62～63年の京都市埋蔵文化財研究所による発掘調査の結果、推定どおり豊楽殿の礎石抜取穴、凝灰岩切石を用いた基壇、さらにこの基壇から北方へ延びる北廊跡等が検出され、平安時代初頭ころの豊楽殿跡の一端が明らかとなった。これらの遺構は現状保存され、現在史跡に指定されている。　遺物は、659点にものぼる多量の瓦〓【がせん】類が主体を成し、それに地鎮具としての性格がうかがえる白色土器 3点、建物基壇に使われた凝灰岩製の石材 8点、さらに建物を飾っていたと考えられる金銅製の隅木【すみき】あるいは垂木【たるき】先飾金具 2点、銅の小角釘1点、またガラス小玉 1点で構成される。　これらの遺物の中で本件を特徴づけるのは、瓦〓類に含まれる 422点にものぼる緑釉・三彩瓦である。その内訳は三彩の鴟尾【しび】1点以外は、すべて緑釉瓦で、種類的には鴟尾、鬼瓦、熨斗【のし】瓦などの道具瓦に加えて、軒丸瓦、軒平瓦、丸瓦などが網羅されており、往時の豊楽殿の屋根に飾られていた瓦の実態を復元することが可能である。緑釉丸瓦は、大棟等に用いられた道具瓦（後代の雁振瓦と同用途）と考えられるもの数点を含み、これがやや小振りな下り棟等の道具瓦片と組み合うが、一般的な通常の丸瓦は確認できない。このことは、緑釉丸瓦は棟に置かれた道具瓦と理解するのが妥当であると考えられる。　これら瓦類の多くは、軒平瓦、軒丸瓦ともに同笵【どうはん】のものが主体であり、釉調や胎土等の観察から、ほぼ一時期に生産され、豊楽殿に供給されたものと考えられる。また、その年代は、北廊の増築が、同所から出土した白色土器等の出土遺物に照らして弘仁年間（810～824）ころに比定できることから推察して、大同年間（806～810）に完成したとされる創建当初の豊楽殿の大屋根を、美しく飾っていたものと考えられる。　以上本件は、緑釉・三彩瓦を主体とした豊楽殿の実態を示すとともに、その成立から廃絶までの過程を復元できる、きわめて価値の高い内容をもっている。