市民意識についての議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 15:55 UTC 版)
「バスおじさん」の記事における「市民意識についての議論」の解説
文学者であるアー・ノン Ah Nong(阿濃)は「バスおじさん」の事件について、香港人が持つ無関心さに光を当てる出来事だと述べた。彼はチャンとホーとの熱を帯びた口論の最中、ホーに味方する者がひとりも現れなかった点を強調した。また、自身が数年前にバスの乗車中、床に座ってタバコを吹かしている男と対決して、旅程中ずっとどなられっぱなしでいた思い出を語った。彼が言うには、運転手に他の乗客の苦情を持ち込むのは、相手を無駄に困らせることになるだけなので避けたのだという。アー・ノンは、このような社会では、人が良い意図を持っておこなった行為でも、悪事として訴えられるようになってしまうと主張した。 ホンコン・クリスチャン・サーヴィスの牧師であるアップル・ツェー・ホー・イ Apple Tse Ho Yi は、12歳以上の506人の学校生徒を対象に、「バスおじさん」事件と市民意識についての概観調査を行った。返答では、バスに乗車中、携帯電話中で大声を上げている人にしょっちゅう出くわすと答えた者のなかで、相手に干渉したり運転手に注意する者の割合は47パーセント足らずだった。何もしないと答えた者の理由は、恐怖、無関心、どうしたら問題を解決できるのか分からないなどだった。市民意識の面では、携帯電話を使って大声を上げるのがいけないことだとは感じないという答えが多数を占めた。ツェーは、いまどきの香港の若年層は貧弱な市民意識しか持っていないと述べ、他人への思いやりに関した議論を折に触れておこなうのは自然なことだろうと締めくくっている。 香港城市大学の社会学講師であるン・ファン・シュン Ng Fung Sheung は、香港人は公共の場所で大声で会話する傾向があると説明する。彼女は例として、乗用車や鉄道に備え付けられているテレビの多くで、番組が最大音量で視聴されている現象を挙げている。ンは、政府が公共の場ではもっと他人への配慮に気を配るよう市民教育を施すべきだと示唆した。学校で「私もストレスがたまっている!」のようなキャッチフレーズを使用禁止にする件についても彼女は、生徒が本当にプレッシャーに直面しているのか、ただ流行に追随しているだけなのか教師の側で見分けなくてはならない、そうして必要があると判断できたら指導を行えるようでなくてはならないと述べる。
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