審理員及び審理関係人(第1節)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 04:30 UTC 版)
「行政不服審査法」の記事における「審理員及び審理関係人(第1節)」の解説
第9条(審理員) 審理員は審査請求に関する審理手続の主宰者である。 審査請求がされた行政庁(以下、「審査庁」という。)は、審査庁に所属する職員のうちから審理員を指名するとともに、その旨審査請求人及び処分庁等に通知しなければならない。ただし、有識者で構成する第三者機関(以下「9条関係委員会等」という。)が審査庁である場合、条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合又は当該審査請求を却下する場合は、その必要はないとされている(第1項)。 審理員は、公正中立性を確保するため、除斥事由に該当しない者のみがなることができる(第2項)。 第三者裁決機関が審査庁になる場合または特別の定めがある場合は、審理員ではなく当該審査庁が審理を行う(第3項)。その場合、審査庁は必要に応じてその職員に一部権限を移譲して一定の審理手続を行わせることができる(第4項)。 第10条(法人でない社団又は財団の不服申立て) 法人でない社団又は財団のうち代表者又は管理人の定めがあるものに対し、民事訴訟法における当事者能力(同法第29条)と同様、不服申立資格を認める。 第11条(総代) 共同で行われる審査請求手続を円滑に進めるための特例を定める。共同不服申立てをする審査請求人が多人数の場合には、総代を3人以内の範囲で互選により選出することができる(第1項)。共同審査請求人が総代を互選しない場合においても、審理員の方から手続きの円滑化のために総代の互選を命じることができる。この命令に従わなかったときには、審査請求は却下される(第2項)。総代には、基本的に審査請求に係る一切の行為を行う権限が各自に付与されているが、審査請求の取下げについては各審査請求人が熟慮・判断すべきものであるので、総代の権限に含まれない(第3項)。総代が選任されたときは、共同審査請求人は、総代を通じてのみ当該審査請求の行為をすることができる(第4項)。 手続き円滑化の趣旨に鑑み、総代が2人以上選任されている場合であっても、行政庁の通知その他の行為は1人の総代に対してすれば足りる(第5項)。 共同審査請求人には、総代の解任権限が認められている(第6項)。 第12条(代理人による審査請求) 審査請求は代理人によって行うこともできる(第1項)。 代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の取下げは、第11条3項における総代の権限と同様の趣旨により、特別の委任を受けた場合に限ってすることができる(第2項)。 第13条(参加人) 審査請求に係る処分等につき法律上の利害関係を有するものと認められる審査請求人以外の者(以下、「利害関係人」という。)は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる(第1項)。自ら参加を申し立てない利害関係人であっても、審理員が参加を求めることができる(第2項)。これらの定めにより当該審査請求に参加する者を「参加人」と呼ぶ(以下同じ。)。 審査請求への参加は代理人によって行うことも認められる(第3項)。審査請求に参加した代理人は、参加人のために、参加に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求への参加の取下げは、第12条2項と同様、参加人から特別の委任を受けた場合に限ってすることができる(第4条)。 第14条(行政庁が裁決をする権限を有しなくなった場合の措置) 審査請求を受けた行政庁は、審査請求後に法令の改廃により裁決権限を失ったとき、新たに裁決をする権限を有することとなった行政庁に審査請求書等を引き継がなければならない。引継ぎを受けた行政庁は、審査請求人及び参加人に速やかにその旨通知しなければならない。 第15条(審理手続の承継) 審査請求人の地位の承継について定める。審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する(第1項)。 法人や社団、財団に関して、合併又は分割があったときは、当該権利を承継した法人は、審査請求人の地位を承継する(第2項)。 権利を承継した者は、書面でその旨を審査庁に届け出なければならない。その届出書には、死亡若しくは分割による権利の承継又は合併の事実を証する書面を添付しなければならない(第3項)。 審査請求人の地位の承継の効果は届出により生じるものではないものの、審理手続の遅延を回避するため、死亡者又は合併前の法人等若しくは分割をした法人に宛ててなされた通知であっても、承継の旨の届出がされるまでの間に審査請求人の地位を承継した者に到達したものは有効とする(第4項)。 審理手続を迅速に進行させるため、審査請求人の死亡によりその地位を承継した相続人らが2人以上あるときは、その1人に対する通知等の行為は、全員に対してされたものとみなされる(第5項)。 審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査庁の許可を得て、審査請求人の地位を承継することができる(第6項)。 第16条(標準審理期間) 行政手続法における標準処理期間(同法6条)と同様、審査庁となるべき行政庁には、審査請求がその事務所に到達してから裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を定める努力義務が課され、これを定めたときは、その行政庁及び対象の処分の権限を有する行政庁で審査庁となるべき行政庁以外の行政庁(以下、「関係処分庁」という。)の事務所において、備付け等により公にしておくことが義務付けられている。 第17条(審理員となるべき者の名簿) 国民一般に対する透明性を向上させて審理員指名手続の公正さを確保するため、審査庁となるべき行政庁には、審理員となるべき者の名簿を作成する努力義務が課され、名簿を作成したときは、その事務所及び関係処分庁の事務所における備付け等により公にしておくことが義務付けられている。
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