審理及び裁判等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/16 05:06 UTC 版)
「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」の記事における「審理及び裁判等」の解説
任意的口頭弁論 損害賠償命令の申立てについての裁判は、口頭弁論を経ないですることができる(法23条1項)。口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる(同2項)。 審理 刑事被告事件について有罪の言渡しがあった場合には、裁判所は、直ちに、損害賠償命令の申立てについての審理のための期日を開かなければならない。ただし、直ちに審理期日を開くことが相当でないと認めるときは、裁判長は、速やかに、最初の審理期日を定めなければならない(法24条1項)。 損害賠償命令の申立てについては、特別の事情がある場合を除き、4回以内の審理期日において、審理を終結しなければならない(同条3項)。裁判所は、最初の審理期日において、刑事被告事件の訴訟記録のうち必要でないと認めるものを除き、その取調べをしなければならない(同条4項)。 異議の申立て等 当事者は、損害賠償命令の申立てについての裁判に対し、送達又は告知を受けた日から2週間内に、裁判所に異議の申立てをすることができる(法27条)。裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならず(同2項)、この却下決定に対しては、即時抗告をすることができる(同3項)。 適法な異議の申立てがあったときは、損害賠償命令の申立てについての裁判は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失い(同4項)、適法な異議の申立てがないときは、損害賠償命令の申立てについての裁判は、確定判決と同一の効力を有する(同5項)。 訴え提起の擬制等 損害賠償命令の申立てについての裁判に対し適法な異議の申立てがあったときは、損害賠償命令の申立てに係る請求については、その目的の価額に従い、当該申立ての時に、当該申立てをした者が指定した地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に訴えの提起があったものとみなす(法28条1項)。 訴えの提起があったものとみなされたときは、裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、取り調べた当該被告事件の訴訟記録中、関係者の名誉又は生活の平穏を著しく害するおそれがあると認めるもの、捜査又は公判に支障を及ぼすおそれがあると認めるものその他送付することが相当でないと認めるものを特定しなければならない(29条1項)。また、刑事事件を審理した裁判所の書記官は、訴えの提起があったものとみなされた地方裁判所又は簡易裁判所の裁判所の書記官に対し、前項で特定されたものを除き、損害賠償命令事件の記録を送付しなければならない(同条2項)。 民事訴訟手続への移行 裁判所は、最初の審理期日を開いた後、審理に日時を要するため4回以内の審理期日において審理を終結することが困難であると認めるときは、申立てにより又は職権で、損害賠償命令事件を終了させる旨の決定をすることができる(法32条1項)。 損害賠償命令事件の当事者等から、損害賠償命令の申立てに係る請求についての審理及び裁判を民事訴訟手続で行うことを求める旨の申述があり、相手方もこれに同意している場合などには、裁判所は、損害賠償命令事件を終了させる旨の決定をしなければならない(同条2項)。 終了の決定及び終了申立てを却下する決定に対しては、不服を申し立てることができず(同条3項)、法28条から30条の規定(訴え提起の擬制等)が準用される。
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