実質実効為替レート
英語:effective exchange rate indices
実効為替レートに、物価変動を調整して算出した指標。国際決済銀行(BIS)が毎月発表している。
一般的に用いられる為替レートは、ドル/円のように2国間の通貨の取引により価格が決定される。そのたため、ドルと円のどちらが強いかという判断は可能だが、ドルと円以外の通貨との比較は不可能である。一方、実効為替レートは、その国の通貨と約60か国の通貨との相対的関係を数値に表したものである。実効為替レートの数値から、今どの国の通貨が強くなってきているのか、または、弱くなってきているのか、といったことを知ることができる。
実質実効為替レートは、この実効為替レートに、それぞれの国の物価変動を加味して算出した数値である。
関連サイト:
「実効為替レート(名目・実質)」の解説 - 日本銀行
BIS effective exchange rate indices - BIS(英語)
じっしつ‐じっこうかわせレート〔‐ジツカウかはせ‐〕【実質実効為‐替レート】
読み方:じっしつじっこうかわせれーと
実質実効為替レート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 15:09 UTC 版)
日本では日本円と米ドルの相場に注目が集まるが(円相場#日本における外為実務)、国際市場への参加者は他にも数多くあり、それぞれが自国通貨を持って変動相場制の下で貿易が行われているため、特定国間の為替レートだけを見ても国際市場における当該通貨の価値を知ることはできない。 外国為替市場における諸通貨の相対的な実力を測るための指標として実効為替レートがあり、これは中央銀行や国際決済銀行などが算定し、適宜公表している。 BIS(国際決済銀行)によると、2022年1月の円の実質実効為替レートは67.55で1972年6月以来、約50年ぶりの低水準となっている。実質実効為替レートは、ドルやユーロ、人民元などの主要な通貨について、貿易量や物価水準などを考慮、比較して総合的な通貨の実力を算出する。その数値が低いほど、海外からモノを買う際の割高感が高くなる。原油や穀物材料が高騰しているなかで、円の実力が低下しているということは家計への逆風になる。 また、為替レートの変動を考えるとき、両国で物価上昇率が異なる場合は、実質的なレートが、名目為替レートとずれてくる。このような物価上昇率の効果を考慮した為替レートを「実質為替レート」という。 実効為替レートにおいても物価上昇率調整前後の値をそれぞれ算出するのが一般的であり、物価調整前を「名目実効為替レート」、調整後を「実質実効為替レート」と呼ぶ。実質実効為替レートは、貿易相手国全体との貿易面での有利・不利を示す指標である。 日本銀行の解説にもあるように、実質化(どのようなデフレータを使用するか)、実効化(どのような通貨ウェイトで加重するか)の両面において様々な論点がある。分析しようとする目的に合ったデフレータおよび通貨ウェイトであるかを確認する必要があり、たとえば、企業の競争環境を分析しようとする時にデフレータとして消費者物価指数を用いたり、あるいは貿易額を通貨ウェイトとするのは望ましくない。これは、賃金などの企業のコストと消費者物価指数は乖離していること、アメリカ市場で第三国と競争している時にはドル円ではなく、その第三国の通貨と円の関係が問題になること、などによる。また、ウェイト替えに伴う遡及改訂をどのように行っているかも注意が必要な点であり、現在のウェイトを元に過去を遡及改訂するような統計の場合、過去の値が持つ意味をよく吟味しなければならない。その他にも過去と比較する際には、実質実効為替レート水準の高低をただ比べるだけではなく、経済情勢や経済構造の変化など、様々な留意点がある。
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