宗教圏や文化圏による消費量や生産量の偏り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 14:18 UTC 版)
「食肉」の記事における「宗教圏や文化圏による消費量や生産量の偏り」の解説
食肉とは食用にする動物の肉のことを指すが、世界各地においてそれぞれの地域で育まれてきた文化的伝統がある。ある地域で珍重される食肉が他の地域においては全く食べられず、食品としてすら扱われないといったことは珍しいことではない。世界で最も一般的な食肉である牛肉、豚肉、鶏肉ですら、そういった地域差が存在する。こういった差異の中で最も顕著なものは、宗教的タブーによる制限である。たとえば牛肉は世界のかなりの地域において最も好まれる肉であるが、インドにおいてはヒンドゥー教が牛を聖獣としているため全く食べない人が多いばかりでなく、牛肉の生産・流通を法的規制や暴力的手段で阻止しようとする動きすらある。一方、豚肉はイスラム教では不浄の食べ物として忌み嫌われる存在であるためイスラーム圏では食肉として扱わない。 「ハラール」も参照 またある地域で、特定の種類の食肉が特に好まれ大量に生産されることもある。シチメンチョウは世界5位の生産量のある食肉であるが、生産及び消費は原産地でもある北アメリカ、特にアメリカ合衆国に片寄っており、2010年度の総生産量の48%がアメリカ一国で生産された。羊肉はどの地域でもそれほど消費量が多い肉ではないが、例外的にオセアニア、特にニュージーランドにおいては突出して消費量が多く、牛豚鶏の三種とそれほど遜色ない消費量となっている。オーストラリアにおいてもニュージーランドほどではないものの、やはり羊肉消費は他国と比べて多い傾向にある。中国人のなかの多数派(漢民族)は基本的に(イスラームやヒンドゥーでもなく)宗教的制約が無く、豚肉を好んで食べ、人口が多いので豚肉の世界消費量を押し上げている。 明治以降の日本だけに焦点をあてた場合でも、東日本では豚肉の消費量が多く、西日本では牛肉の消費量が多いとされる。ただし西日本でも、九州や沖縄では豚肉の方が消費量が多い。
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