宗教学からみた他宗教の類似概念との相違
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 19:09 UTC 版)
「復活 (キリスト教)」の記事における「宗教学からみた他宗教の類似概念との相違」の解説
死者の霊肉一体の再生としての復活の信仰は、人間の肉体と霊魂を等しく人間の生命に欠かせないものとする、人間を一元的有機体とする観方を前提とする。 従って、霊魂を人間の本質とするインド、古代ギリシャの宗教伝統(ヒンドゥー教、仏教、古代ギリシャ神話)では、復活は中心的教義として位置づけられる事は無かった。ギリシャ人は人間の魂を本性的に不朽のものと捉え、死は肉体という束縛から魂が解放されることとして位置づけていたことも比較の前提となる。 他方、人間を霊肉の一元的有機体と捉えるものにとっては、復活は信仰の中核に位置づけられるケースがみられる。キリスト教もそうした見地にたつものであるが、他に古代エジプトの宗教、ユダヤ教、ゾロアスター教、イスラームなどが挙げられる。 古代エジプトにおいては死は生の中断・変化と捉えられ、現世と同じ来世の存在が信じられていた。死者はオシリスに由来する秘儀によって不死の存在に変えられるとされていた。ゾロアスター教では、人は死後裁きを受けて天国か地獄に送られるが、最後の日に救世主が現れ死者を復活させ、その後全ての人が罪のけがれを落として永遠の天国に入るとしている。 宗教学の見地からは、キリストとオシリスとは、復活の証であり、死者を裁き生かすという共通の役割が指摘される。しかしながら最大の相違として、古代エジプトにおいてはオシリスと死者の出会いは死後にのみ起こるのであるが、洗礼を受けたキリスト教徒は復活したキリストにおいて新生を始めるとされる点(ローマの信徒への手紙 6章)が挙げられる。
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