宅地建物取引士証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 04:18 UTC 版)
実際に「宅地建物取引士」を名乗り専権業務を行うには、宅地建物取引士資格試験に合格し、試験を実施した都道府県知事の資格登録を受け、さらに宅地建物取引士証の交付を受けることが必要である。 資格登録には実務経験が2年以上なければならない。ただし、登録実務講習実施機関が行う登録実務講習を修了することにより「国土交通大臣が2年以上の実務経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者」となることができる。登録実務講習は「通信講座」「演習」「修了試験」からなる。 宅地建物取引士証の有効期限は5年間で、5年ごとに法定講習(都道府県知事の指定した講習で、有効期限の満了の日の前6か月以内に行われるもの)および宅地建物取引士証の更新が必要である。なお、宅地建物取引士証の交付に際して条件を付すことはできない。 宅地建物取引士資格登録を完了したが宅地建物取引士証の交付を受けていない者は宅地建物取引士資格者と呼ばれる。登録の効力は違法行為などで取り消されない限り、どこの都道府県知事に申請しても全国で有効で、かつ一生涯有効である。 宅地建物取引士資格試験の合格実績は、試験時の不正行為などで取り消されない限り、たとえ登録が消除されても一生涯有効である。 不正手段をもって試験を受験し、または受験しようとした者は、合格の取り消しや当該試験の受験禁止の処分がなされる。さらに都道府県知事は、情状により当該受験者に対し、3年以内の期間を定めてその者の受験を禁止することができる。 宅地建物取引士登録を受けた者が、氏名、住所、本籍、勤務先の商号・名称、免許証番号を変更したときは、速やかに登録先の都道府県知事に変更の登録を届け出なければならない。宅地建物取引士証の交付を受けた者が住所・氏名を変更したときは、あわせて宅地建物取引士証の書き換え交付を申請しなければならない。 宅地建物取引士登録を受けた者が、登録先以外の都道府県内に所在する宅地建物取引業者の事務所で業務に従事する場合、現に登録を受けている都道府県知事を経由して当該事務所の所在する都道府県知事に登録の移転を申請することができる。登録の移転は任意であるが、事務禁止処分の期間中は登録の移転を申請できない。また、単に宅地建物取引士が住所を移転したのみでは登録の移転はできない。移転に伴い新たな宅地建物取引士証が、前の宅地建物取引士証と引換で交付され、新たな宅地建物取引士証の有効期間は、前の宅地建物取引士証の残存期間である。 宅地建物取引士は、事務の禁止処分を受けたときは、速やかに宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。登録を消除されたときや宅地建物取引士証が効力を失ったときは、速やかにその宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。 宅地建物取引士は、不動産取引の関係者から要求があった時は、宅地建物取引士証を提示しなければならない。重要事項を説明する際には、相手方から要求がなくても宅地建物取引士証を提示しなければならない。宅地建物取引士証を亡失した場合や、有効期限内に更新を行わなかった場合は、提示義務が果たせないので、宅地建物取引士としての業務を行うことはできない。なお、提示に当たり個人情報保護の観点から、宅地建物取引士証の住所欄にシールを貼ったうえで提示しても差し支えないものとされる。ただし、シールは容易に剥がすことが可能なものとし、宅地建物取引士証を汚損しないよう注意しなければならない。(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方:第35条第4項関係、宅地建物取引士証の提示について)
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