宅地造成にかかる費用と積算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 06:00 UTC 版)
「宅地造成」の記事における「宅地造成にかかる費用と積算」の解説
宅地造成費は、土地の相続税評価において、雑種地等を評価する際、現在宅地ではない土地を宅地化する場合に発生する算定費用である。これは、試算対象となる土地が市街地農地や市街地周辺農地、市街地山林や市街地原野といった雑種の土地に該当する場合、宅地比準方式による評価額の算定が可能となっている。このとき、土地を宅地とみなして計算した評価額から宅地化に必要となる宅地造成費を控除して評価額を決定することができる。 宅地造成工事費は都道府県ごとに毎年定められることとなっており、国税庁のウェブサイトにある財産評価基準で確認することができる。その構成はつぎのとおり。 整地費 - 整地費とは、地面を平らにし、建築などに適する地面に整えるための費用。土盛工事を行った後の地ならしも含む。整地を必要とする1平方メートルあたりの費用が定められている。 伐採・抜根費 - 土地に樹木が生育している場合に、伐採し、抜根するためにかかる費用。必要面積1平方メートルあたりの費用が定められている。ただし、土地上の樹木が整地工事で取り除くことができる程度である場合には、伐採・抜根費を別途算定はしない。 地盤改良費 - 湿地など、宅地化にあたり地盤の改良工事が必要な場合に算定することができる。必要面積1平方メートルあたりの費用が定められている。 土盛費 - 土地が道路よりも低い位置にある場合、宅地化には道路と同じ高さにするために土砂を搬入する必要があるが、これは土盛工事と呼ばれ、費用として土盛り体積1立方メートルあたりの費用が定められている。 土止費 - 土止費とは土盛工事を行った場合に、土盛した部分の土砂の流出や崩壊を防止するために必要な擁壁工事費用で、擁壁の面積1平方メートルあたりの費用が定められている。 傾斜地 - 土地が3度を超える傾斜となっている場合には、傾斜地として整地費、土盛費、土止費を全て含めた宅地造成費の金額が設定されているが、傾斜地ごとの宅地造成費はいずれも1平方メートルあたりで、3度超5度以下、5度超10度以下、10度超15度以下、15度超 20度以下ごとに定められている。そして傾斜地において伐採・抜根が必要な場合では、平坦地における伐採・抜根費分を加算することができる。 ただし、土地の状態が宅地への転用が難しいと判断される場合、宅地比準方式での試算を用いることができない。 宅地造成工事について内容とその積算は、『宅地造成工事費算定ハンドブック』(津村 孝、清文社 978-4-7960-4865-1 1995年)のほか不動産鑑定士としてこれだけは知っておきたい「宅地造成工事の内容とその積算」の基礎知識 (PDF) (竹本 朗『鑑定ふくおか』Number32,2013年4月号 福岡県不動産鑑定士協会)に詳しい。 不動産鑑定評価等において不動産の価格を求める際、更地において原価法を適用する場合、宅地見込地において転換後と造成後の更地を想定した価格を求める場合、造成地において開発法を適用する場合に必要なだけでなく、最有効使用を判定する上でも、さまざまな種別の対象不動産の確認にも必要であるが、対象不動産の実地調査において、その土地における土質と地勢等、擁壁、道路、下水道等を確認する場合にも参考となりうる。
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