学級文庫の内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 17:36 UTC 版)
小学生の読書訓練に最も多く用いられる本は、読書レベルが印刷され、章ごとに構成されたチャプターブック (Chapter book)と呼ばれる本である。チャプターブックは一般的に安価な(市販価格で5ドル前後、学校への卸価格は1ドル未満からある)ペーパーバックの形態で販売されている。内容もドクター・スースの著書、『がまくんとかえるくん』、『エルマーのぼうけん』、『大草原の小さな家』(低いレベル向けに易しく短く書き直したものもある)といった古典から、マジック・スクール・バス、マジック・ツリーハウス、スーパーヒーロー・パンツマンなどの現代ベストセラー、ポケモンやディズニーのキャラクターもの、 フィクションだけでなく伝記や科学などノン・フィクションまで幅広い。そのため学級文庫には一つのレベルの中に多種多様な執筆スタイルやテーマの書物が含まれ、読書内容が偏らないように配慮されている。 学級文庫には、このような読書訓練を目的とする本のほかに、図鑑、辞書、ギネスブック、絵本、ホラー、ファンタジー、スポーツなど読書を楽しむためのペーパーバック、ハードカバーの本も数多く置かれている。 図書室からの貸し出し 担任所有の蔵書だけでなく、学習中のテーマに沿った本など担任のリクエストにもとづいて学校司書は適当な本を見繕い、各教室へ「配達」する。北米の小学校には日本の教科書に相当するものはなく、学区のガイドラインに沿っていれば担任教諭にカリキュラムを決める自由がある。そのため学級ごとに学習内容は多少異なり、授業関連の書籍をまとめて図書室から借りても他の学級に迷惑がかかることは少ない。図書室からの貸出本を定期的に入れ替えることによって、学級図書の内容はさらに充実したものになる。 購入や献本 もう一つの特徴として各学級とスコラスティック(en)などの大手の児童書・教育書出版社との密接な関係が挙げられる。大手出版社は学級担任を通して、保護者にハードカバー、チャプターブック、教材などを市販より多少安い値段で販売している。学級ごとに販売冊数が算出され、一定の冊数に達すると学級担任は業者から本や教材を無料で受け取ったり割引券を手に入れることができる。保護者が一定の支払いをして、その金額内で担任がカタログから自由に本を選べるシステムもある。 また多くの学校にはブック・フェアー (Book Fair)という児童や保護者を対象にした出版社の出張販売イベントが年1回程度開催されている。日本でも一部の私立校で実施されているが、出版社は特定のテーマの本や、推薦図書や人気本を集めて校内で販売する。予算のある学校では児童文学作家を招いて講演会を開き、作家の本をまとめて販売することもある。こういった販売イベントに各担任が学級図書用のリクエストを提出すると、保護者は子供が在籍する学級の図書を購入する。クリスマス、感謝週間 (Teacher Appreciation Week)、学年末などに保護者が担任に希望図書や書店のギフトカードを贈ることも頻繁にある。また読書レベルの上がった生徒が、読まなくなった低いレベルの新古書を寄付することもよくある。
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