大日 (索道事業者)とは? わかりやすく解説

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伊豆パノラマパーク

(大日 (索道事業者) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/06 08:50 UTC 版)

葛城山
地図

伊豆パノラマパーク(いずパノラマパーク)は、静岡県伊豆の国市にある標高452m葛城山山頂北麓を利用した観光施設である。

山頂の富士見テラス(現・碧テラス)からの眺望(2012年9月)

傾斜長1,791.95m、最大高低差411.11m[1]ロープウェイ及び山頂の「碧テラス」、地上エリアのイタリア料理レストラン「トラットリア伊豆パラディーゾ」、売店エリア「ブルーマーケット」が主たる施設で、伊豆長岡温泉地区と、葛城山の山頂までを結ぶものである。山頂では富士山駿河湾の望めるパノラマや、四季に応じた植物、特に春のツツジや、6月のアジサイが見物である。なお「360度の大パノラマ」と謳ってはいるが、東や南西方向の眺望はあまり開けていない。

かつては「伊豆長岡エイトランド」という名称であり、後に名称を「かつらぎ山パノラマパーク」、「伊豆の国パノラマパーク」と改称し、2021年令和3年)7月21日からは「伊豆パノラマパーク」に改称した[2]

沿革

かつては「伊豆長岡エイトランド」という名称であり、エイトボウルというボウリング場(2008年5月31日をもって閉館[3])も併設されていた。1992年平成4年)10月4日に名称を「かつらぎ山パノラマパーク」と改称し、その後「伊豆の国パノラマパーク」となり[注釈 1]、2021年(令和3年)7月21日に「伊豆パノラマパーク」に改称した[2]

ロープウェイの名称も、 1962年昭和37年)の開業当時は「伊豆長岡ロープウェイ」と称していたが、後に「葛城山ロープウェイ」、「伊豆の国パノラマパークロープウェイ」に変更され、現在は「伊豆パノラマパークロープウェイ」と呼称している。

このロープウェイは、伊豆長岡温泉の旅館「小川家」経営者で、当時の伊豆長岡観光協会長であった杉山勝美[注釈 2]が主導して生まれたものである[6]。昭和30年代の初め、伊豆長岡温泉の目玉施設としてロープウェイを計画[6]。当初は夢のような計画で相手にされなかったが、旅館のだんな衆に訴え、伊豆長岡町を説得[6]1960年(昭和35年)に伊豆長岡観光開発株式会社を発足し、有志が株を持ち合い5千万円を集めた[6]

同年10月14日に運輸省から敷設免許が下りると直ちに工事に着工。工事を担当したのは日本ケーブルで、設計は中根設計研究所が担当した。三線自動循環式旅客索道方式が採用されたロープウェイは総工費3億円で工事が進められ、着工から1年半後に竣功した[7]1962年(昭和37年)5月3日に開業し、「東洋一のゴンドラ」と話題を呼んだ[6]。当時のゴンドラ(搬器)は32両で、1両の定員はガイドを含めて10名。最大運搬能力は毎時上下540名、1時間に1,080名の輸送力で、開業当初は名古屋陸運局の指示でゴンドラ1台ごとにガイドが付き、片道15分掛かるものであった[8]

推理作家楠田匡介の記事によると、伊豆長岡ロープウェイの開業式祝賀会では、主賓として内閣総理大臣池田勇人の令嬢がゴンドラ始乗のテープカットを行い、ゴンドラの1号車に令嬢、静岡県知事斎藤寿夫)、社長の杉山勝美、その他が乗り込んだとされる[9]

開業後数年で4億円を越える負債を抱えてしまい[6]伊豆箱根鉄道に経営を頼ったものの断られ、1969年(昭和44年)7月29日にロープウェイメーカーの日本ケーブルの子会社である伊豆長岡ケーブル株式会社に売却された[10]1970年(昭和45年)8月31日に伊豆長岡ケーブル株式会社が大日株式会社へ社名変更し[11]、以降は大日株式会社が当施設を保有・運営している[12]

年表

  • 1960年昭和35年)
    • 08月23日 - 伊豆長岡観光開発株式会社を設立(資本金5000万円)[7]
    • 10月14日 - 運輸省から伊豆長岡観光開発に対し、普通索道(ロープウェイ)の敷設免許(伊豆葛城山山麓 - 山頂間、キロ程1,898m)が下りる[13]
  • 1962年(昭和37年)
    • 4月20日 - 伊豆長岡ロープウェイが開通[14]
    • 5月03日 - 伊豆長岡ロープウェイが開業[8]
  • 1969年(昭和44年)7月29日 - 伊豆長岡ロープウェイを伊豆長岡ケーブル株式会社に売却[10]
  • 1970年(昭和45年)8月31日 - 伊豆長岡ケーブル株式会社が大日株式会社へ社名変更[11]
  • 1971年(昭和46年) - 伊豆長岡エイトボウルが開業[3]
  • 1992年平成4年)10月4日 - 老朽化した施設を一新[6]。施設名を「伊豆長岡エイトランド」から「かつらぎ山パノラマパーク」へ改称。
  • 2008年(平成20年)5月31日 - 伊豆長岡エイトボウルが閉館[3]
  • 2010年(平成22年)7月1日 - 伊豆の国パノラマパークがグランドオープン[15]
  • 2016年(平成28年)7月26日 - ロープウェイ山頂エリア「空中公園」に「富士見テラス」を新設[16]
  • 2017年(平成29年)7月15日 - 富士見テラスに「デイベッドエリア」(プレミアムラウンジ)と「ソファーエリア」を設置[17][18]
  • 2018年(平成30年)12月20日 - 富士見テラスに葛城珈琲店オープン[19]
  • 2021年令和3年)7月21日 - 施設名を伊豆パノラマパーク、山頂エリアにある展望台を「碧テラス」にそれぞれ名称変更[2]

ロープウェイ

全ての座標を示した地図 - OSM
全座標を出力 - KML
山麓駅(2018年7月)
山頂駅(2007年10月)

路線データ

以下は公式サイトの「ロープウェイの豆知識公開中!」による[1]

  • 全長(傾斜長):1,791.95メートル
  • 高低差:411.11m
  • 最大勾配:36度06分
  • 走行方式:単線自動循環式
  • 運転速度:4m/s(通常時)、3m/s(減速運転時)
  • 所要時間:7分30秒(通常時)、10分(減速運転時)
  • 支柱数:19本
  • 牽引動力:280kw原動機モーター
  • ゴンドラ(搬器):スイスCWA社

山麓駅側

  • イタリアンレストラン「トラットリア伊豆パラディーゾ」
  • 売店エリア「ブルーマーケット」
    など

山頂駅側

  • 空中公園
    • 碧テラス(旧名称:富士見テラス)
    • 富士見の足湯
    • ザ・ウォーターラウンジ
    • かつらぎ茶寮
    • 葛城珈琲店
    • ボードウォーク
    • 恋人の鐘
    • 葛城神社
    • 百体地蔵
    • アスレチック
      など

利用料金

ロープウェイ往復乗車料金(碧テラスの利用料含む)は以下の通り。「大人」は中学生以上、「子ども」は小学生、「幼児」は3才以上。2才以下は無料[20]

ハイキング等でロープウェイを利用しない場合でも「碧テラス」を利用する場合は、2024年(令和6年)11月1日より施設利用料金として大人(中学生以上)2,500円、子ども(小学生)1,400円、幼児(3才以上)700円が必要となる。

  • 往復 前売オンラインチケット(平日)
    • 大人:2500円、子ども:1400円、幼児:700円
  • 往復 前売オンラインチケット(休日)
    • 大人:3000円、子ども:1600円、幼児:800円
  • 往復 当日窓口
    • 大人:3500円、子ども:1800円、幼児:900円
  • 片道 当日窓口(主にハイキング等で山歩きをする利用者向け)
    • 大人:2500円、子ども:1400円、幼児:700円

交通

鉄道・バス

自動車

グループ施設

日本ケーブルのグループ子会社が運営する「アルピナリゾーツ」施設の一覧[21]

脚注

注釈

  1. ^ ホームページでは、2008年12月から「伊豆の国パノラマパーク」の名称とロゴが使用されている[4]
  2. ^ 伊豆長岡温泉株式会社社長、伊豆温泉組合長等を歴任。1968年(昭和43年)10月18日没[5]

出典

  1. ^ a b ロープウェイの豆知識公開中!”. 伊豆の国パノラマパーク (2021年5月30日). 2024年12月5日閲覧。
  2. ^ a b c 施設名変更のお知らせ』(プレスリリース)伊豆パノラマパーク、2021年7月21日。オリジナルの2021年7月22日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210722023436/https://www.panoramapark.co.jp/information/16262024年12月5日閲覧 
  3. ^ a b c 伊豆長岡 パノラマパーク-エイトボウル”. かつらぎ山パノラマパーク. 2008年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月5日閲覧。
  4. ^ かつらぎ山パノラマパーク”. 大日 (2008年12月10日). 2008年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月5日閲覧。
  5. ^ 伊豆長岡町文化財保護審議会 1993, p. 82.
  6. ^ a b c d e f g 『新狩野川紀行』静岡新聞社、1996年10月、68-70頁。ISBN 4-7838-0927-5 
  7. ^ a b 伊豆長岡町文化財保護審議会 1993, p. 80.
  8. ^ a b 伊豆長岡町文化財保護審議会 1993, p. 81.
  9. ^ 楠田匡介「長岡から吉奈へ」『温泉』第30巻第6号、日本温泉協会、1962年6月1日、15-16頁、doi:10.11501/4412359 
  10. ^ a b 伊豆長岡町文化財保護審議会 1993, pp. 82–85.
  11. ^ a b 伊豆長岡町文化財保護審議会 1993, p. 85.
  12. ^ 会社案内”. 伊豆パノラマパーク. 大日. 2024年12月5日閲覧。
  13. ^ 運輸省鉄道監督局監修『私鉄要覧』 昭和35年度版、日本法制資料出版社、1961年3月25日、250-251頁。doi:10.11501/2455721 
  14. ^ フジPRプロ編集部 編『静岡年鑑』 1964年版、フジPRプロ、1964年3月25日、244-245頁。doi:10.11501/2986736 
  15. ^ 伊豆の国パノラマパーク グランドオープン!』(プレスリリース)伊豆の国パノラマパーク、2010年6月20日。オリジナルの2010年7月27日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20100727014850/http://www.panoramapark.co.jp/topics/detail-874.html2024年12月5日閲覧 
  16. ^ 富士見テラスリニューアルオープン!』(プレスリリース)伊豆の国パノラマパーク、2016年7月16日。オリジナルの2016年7月30日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20160730171129/http://www.panoramapark.co.jp/topics/68082024年12月5日閲覧 
  17. ^ デイベッドエリア・プレミアムラウンジご予約受付中!』(プレスリリース)伊豆の国パノラマパーク、2017年6月29日。オリジナルの2017年10月22日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20171022200459/http://www.panoramapark.co.jp/topics/94642024年12月5日閲覧 
  18. ^ 富士見テラス”. 伊豆の国パノラマパーク. 大日. 2017年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月5日閲覧。
  19. ^ 富士見テラス”. 伊豆の国パノラマパーク. 大日. 2018年12月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月5日閲覧。
  20. ^ 営業時間・料金”. 伊豆パノラマパーク. 大日. 2024年11月23日閲覧。
  21. ^ 施設紹介”. アルピナリゾートマネジメント. 2024年12月5日閲覧。

参考文献

  • 伊豆長岡町文化財保護審議会 編『町史資料 第5集「温泉編」』伊豆長岡町教育委員会、1993年8月、80-85頁。doi:10.11501/9572189 

外部リンク

座標: 北緯35度01分35秒 東経138度55分41秒 / 北緯35.026271度 東経138.928127度 / 35.026271; 138.928127


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