基本船型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:18 UTC 版)
神州丸の船型は当時の民間商船とは全く異なった外形である。航空機/馬欄格納庫(上段)と兵員居住区(下段)の2層に分かれた巨大な箱型の上部構造物を有し、後世の自動車運搬船や、21世紀のアメリカ海軍最新鋭ドック型輸送揚陸艦サン・アントニオ級を思わせる。上部構造物側壁へつながるよう舷側に強いフレアがかかっており、水線部での船体幅よりも上部が著しく幅広くなっている。このように特殊な軍用船だと明らかな外観は機密保持の観点から問題視され、甲型1番船摩耶山丸等の後の量産型特種船では商船型に近い外形へと変更される事になる(丙型1番船あきつ丸は起工後に国際情勢を鑑みて、商船型第1形態を取りやめ飛行甲板を装着した空母型第2形態状態で竣工)。 外見とは裏腹にいわゆる軍艦構造の重防御設計ではなく、商船構造である。ただし、建造中の1934年に発生した友鶴事件を受けて復元性向上のため海水バラスト搭載の設計変更がされた際、浸水に対する防御力を高めるための防水区画増設が行われている。この設計変更のために公試排水量が1,600tも増加した。後述するように船体内に舟艇格納庫が存在するため水中防御力についての懸念があり、就役後に対魚雷防御のため25mmのDS鋼板を舷側に二重に追加する改装を舞鶴海軍工廠で受けている。なお、のちのジャワ上陸作戦時に友軍の重巡洋艦最上に誤射雷撃され大破着底しているが、防雷隔壁は第1層こそ破られたものの第2層で浸水は食い止められていた。 陸軍運輸部の原案では、畿内丸等ニューヨークライナーと呼ばれていた当時の新鋭高速貨物船を原型とした設計であった。原型のニューヨークライナーではディーゼルエンジン2基2軸の推進方式であるところ、エンジンを1基追加して3軸推進とする計画であったが、海軍による設計変更で蒸気タービン一軸化にされている。
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