防御設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:39 UTC 版)
戦艦の防御方式としては主要防御区画以外の部分も甲鈑で防御した全体防御方式と主要防御区画のみを防御した集中防御方式の二つが存在し、扶桑型では計画時に一般的であった全体防御方式が採用された。 また、直接防御は更に垂直(舷側)、水平(甲板)、水中(水線下)防御の三つに分かれており、扶桑型では各部に対しては以下の甲鈑、鋼板が使用された。 垂直防御 VC甲鈑 水平防御 HT鋼、NS鋼 扶桑型が起工された当時では砲戦距離は概ね8,000m程度とされており砲弾は舷側に対して撃角0°に近い撃角で着弾すると想定され、砲弾も被帽徹甲弾が登場してから然程年月がたっておらず依然として貫徹力は低く、甲鈑を穿徹した場合でも弾体の殆どはその際に破砕されるためバイタルパート部まで砲弾が侵入して炸裂する可能性は低かったが、弾片若しくは弾体の一部によって艦内及びその周辺に被害を受ける可能性は高かったため、これに対応する為に垂直防御は舷側の第一甲鈑が穿徹された場合の事を考慮して、艦内部へ侵入した弾片に対しては中甲板の両端を傾斜させる事でバイタルパート部を防御するという防御方式が一般的となっており、山城では弾火薬庫部分の中甲板を傾斜させる事で弾片等に対する防御装甲としていた。また、水雷・航空機も未だ発展途上にあったため、扶桑型の防御は主として垂直防御に重きが置かれ舷側には浸炭処理を施し表面の硬度を高め、裏面は高い強靭を備えた表面硬化甲鈑であるVC (Vickers cemented armour plate) が採用された一方で、水平防御については前述のように砲戦距離が短く徹甲弾も未だ貫徹力の低いものしか存在しなかったため甲鈑は採用されず、主に弾片防御や船体構造材に用いられていたHT鋼、Ni鋼によって水平防御が構成されていた。
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