防振ゴムの応用と1自由度系台車の模索
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 17:09 UTC 版)
「鉄道車両の台車史」の記事における「防振ゴムの応用と1自由度系台車の模索」の解説
旅客車用の台車は、通常、軸ばねと枕ばねの2つの自由可動部分がある2自由度系台車が採用されている。これに対して、貨車用2軸ボギー台車では、通常軸ばねを持たない1自由度系台車を採用している。しかし、過去にはオールコイルばね台車の普及期である1950年代から、空気ばね台車が国鉄以外の私鉄各社の旅客車において主流となる1960年代末まで、ばねそのもの及び併用されるダンパー(ショックアブソーバー)の設計制作技術の向上や、新たな素材の投入により、旅客車用台車の片方の自由度系の機能を強化することと引き換えにもう一方を簡略化し、イニシャルコスト・ランニングコストの低減と台車の大幅な軽量化が可能であると考えられていた時期があった。 そこで注目されたのが、合成ゴムあるいは天然ゴムを防振ゴムとして使用する手法である。 ゴムには金属ばねとは異なり、各方向のばね定数や形状についての制約が少なく、また加硫接着という手法を用いることで金属部品に接着して取り扱いの容易化も可能というメリットがある。そのため、内燃機関のエンジンマウントの振動抑止用を中心に鉄道用でも戦前から使用されていた。 だが、第二次世界大戦前には化学工業の未発達と天然ゴム資源の希少性、それに軍需を優先する必要などからその応用は厳しく制限される状況にあり、日本でこの材料を台車のばね材として積極的に利用できるようになるには、1950年代に入り日本国内の化学工業が再興するのを待つ必要があった。
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