地球近傍小惑星の脅威
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 04:10 UTC 版)
「地球近傍小惑星」の記事における「地球近傍小惑星の脅威」の解説
白亜紀の終わりの地層に発見されたK-Pg境界(白亜紀 - 第三紀境界層)は、巨大な彗星か隕石の衝突によってもたらされたことがわかってきたが、その元として地球近傍小惑星の存在が浮上してきた。 天体の地球への衝突の脅威は、1994年7月16日のシューメーカー・レヴィ第9彗星の木星への衝突により広く知られるようになった。木星へは、地球以上に多くの天体が衝突していると考えられている。 直径1kmほどの小惑星の地球への衝突は100万年に数回、5kmほどの小惑星の衝突は1000万年毎、小天体の衝突は毎月2、3回起こっていると考えられている。 これまでに数回間違った警報が出ているが、多くの小惑星が地球に衝突する危険性があることが知られている。2002年4月、NASAはアポロ群の小惑星 (29075) 1950 DA(直径1.1km)が2880年3月16日に0.3%の確率で地球に衝突すると発表した。この確率は他の小惑星の危険性の1,000倍に当たる。 2004年には、それまでの地球接近記録を更新する2個の小惑星が発見された。3月18日にアテン群の小惑星 2004 FH(直径30m)が地球の表面からの距離4万2740kmまで接近し、3月31日には同じくアテン群の 2004 FU162(直径6m)が同6,350kmまで接近した。 2006年7月3日には、2004 XP14が地球から約42万kmの位置を通過した。 2008年10月7日には、2008 TC3が発見からわずか20時間で大気圏に突入し、スーダン上空での爆発が人工衛星から確認された。その後、多数の破片が落下現場から隕石として回収された。 2010年9月8日には、共にアテン群の 2010 RX30(直径12m)、2010 RF12(直径7m)が発見から3日後に地球からそれぞれ24万8000kmおよび7万9000kmの位置を通過した。そのうち 2010 RX30は日本上空を通過している。 2011年2月4日には、2011 CQ1(直径1.3m)が、地球表面からわずか5,480kmの位置を通過し、衝突しなかった小惑星の接近最短距離を更新した。あまりにも近くを通過したため、地球の重力によって 2011 CQ1の軌道は60度も折れ曲がった。 2011年11月8日から9日にかけて、2005 YU55が、地球から32万5000kmのところを通過した。2005 YU55は直径400mもあり、これほどのサイズの小惑星が接近するのは観測史上初めてである。 世界時2013年2月15日(日本時間16日)には、2012 DA14(直径45m)が人工衛星の静止軌道よりも内側の、地球表面から2万7700kmの位置を通過した。 更に2019年7月25日1:22(日本時間10:22)には、2019 OK(直径推定130m)が地球と月の距離の5分の1以下である、地球表面から7万2400kmの位置を通過した。この天体は、通過する直前である7月24日にブラジルのソニア天文台で初めて発見された。 このように、地球近傍小惑星はその軌道によっては地球に衝突する可能性も考えられる。小さな小惑星の衝突でも甚大な被害が予測されることから、これらの小惑星を発見し監視するためのプロジェクトが世界各地で行われている。しかし全ての地球近傍小惑星を把握し観測する事は難しく、通過間近で発見される地球近傍小惑星も少なくはない。
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