アテン群とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > アテン群の意味・解説 

アテン‐ぐん【アテン群】

読み方:あてんぐん

地球近傍小惑星の分類の一。火星より内側地球近傍軌道をもち、軌道長半径が1天文単位以下で、遠日点が0.983天文単位より遠い小惑星を指す。公転軌道一部地球軌道外側に出る。名称は1976年にこの群で最初に発見され小惑星アテンにちなむ。地球近傍小惑星のうち、約1割を占める。アテン型小惑星


アテン群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/21 12:59 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
アテン群の軌道(緑色)。地球(青色の天体)の軌道に接している

アテン群[1](アテンぐん)またはアテン型小惑星[1](アテンがたしょうわくせい、: Aten asteroids)、アテングループ[1] (: Aten group) とは、地球近傍小惑星 (NEA) の分類の一つ。アテン群は、地球横断小惑星 (Earth-crossing asteroids) で、軌道長半径が1天文単位 (au) より小さく、遠日点距離が0.983 auより大きな軌道を持つ小惑星、と定義されている[2]。1976年1月7日に、この分類の天体で最初に発見された小惑星 (2062) アテンから名づけられた。2021年4月現在、約2,000個のアテン群小惑星が発見されている[3]。アテン群小惑星の多くは、潜在的に危険な小惑星 (PHA) にも分類されている。

解説

アテン群は、軌道長半径 (a) が1.0 au未満の公転軌道を持つ小惑星と定義されている。これは、地球 - 太陽間の平均距離に相当する。また、遠日点距離 (Q) が0.983 auより大きな軌道を持つ小惑星であるとも定義されている[2]。地球の公転軌道は0.983 auから1.017 auの間にあるため、これらの定義によればアテン群の小惑星は地球の公転軌道を横断する地球横断小惑星となる。

2021年4月現在、既知のアテン群で軌道長半径が最も小さい小惑星は 2019 LF6 (0.555 au)である[3]。近日点が最も太陽に近いのは (137924) 2000 BD19 (0.0920 au) で、離心率も最大 (e=0.895) である[3]。この軌道は、近日点では水星軌道の内側に入り込み、遠日点では火星軌道に到達する。2004年末、2004 MN4(翌年に (99942) アポフィスと命名)という小惑星が、2029年または2036年に地球に衝突する可能性があると報じられたが、その後の観測の結果から衝突の危険性はほとんどないことが分かった。2021年には、NASAから今後100年間は地球に衝突する恐れがないとする発表がなされた[4]

2011年2月4日、2011 CQ1という小惑星が地球表面からわずか5,480kmまで最接近した。あまりにも近づきすぎたため、軌道が60°も折れ曲がり、アポロ群からアテン群へと変化した。

アティラ群

アティラ群 (Atira group) は、軌道長半径 (a) が1.0 au未満、遠日点距離 (Q) が0.983 au未満の公転軌道を持つ小惑星のグループである[2]。アティラ群はアテン群のサブグループとされていたが、近年では独立したグループとして扱われることが多い。

軌道要素による地球近傍天体の分類[2]
Group 軌道長半径 近日点距離 遠日点距離 地球横断小惑星
アモール群 >1.0 > 1.017 - N
アポロ群 >1.0 < 1.017 - Y
アテン群 - > 0.983 <1.0 Y
アティラ群 - < 0.983 <1.0 N
※全ての地球近傍天体の近日点距離 (q) は1.3 au未満。

主要なアテン群の天体

アテン群の主要天体
名前 直径(推定:m) 備考
アテン 1100
クルースン 5000 地球の準衛星
アムン 2480
ハトホル 300
ラー・シャローム 3400
セクメト 1400 衛星を持っている
アポフィス 325 潜在的に危険な小惑星
(99907) 1989 VA 1400 公転周期が金星に等しい
(66063) 1998 RO1 800 衛星S/2001 (66063) 1を持つ
1998 DK36 34 アティラ群に属する可能性がある
(66391) 1999 KW4 1317 衛星S/2001 (66391) 1を持つ
2000 SG344 37 人工惑星の可能性がある
2002 AA29 60
2002 VE68 210 - 470 金星の準衛星
2003 YN107 10 – 30
2004 FH 30
2010 RX30 12 2010年日本上空を通過
2011 CQ1 1.2 元々アポロ群だった
2004 FU162 6.7
2001 BA16 23.3
2007 CS5 44.3
2007 JB21 30.7
2007 UW1 106.3
2009 BH2 122.1
2009 WQ6 5.3
2010 XC15 193.4
2010 UY7 28.5
2011 AX22 42.3
2012 BK14 12.2
2012 BX34 11.1
2012 DA14 45
2013 GM3 20.3

出典

  1. ^ a b c アテングループ”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2019年6月3日). 2021年4月5日閲覧。
  2. ^ a b c d NEO Groups”. Center for Near Earth Object Studies. NASA/JPL. 2021年4月5日閲覧。
  3. ^ a b c List Of Aten Minor Planets”. Minor Planet Center. 2021年4月5日閲覧。
  4. ^ NASA Analysis: Earth Is Safe From Asteroid Apophis for 100-Plus Years”. NASA/JPL (2021年3月25日). 2021年4月5日閲覧。

関連項目


アテン群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 04:10 UTC 版)

地球近傍小惑星」の記事における「アテン群」の解説

詳細は「アテン群」を参照 軌道長半径が1天文単位以下で遠日点距離0.983天文単位上の小惑星。0.983天文単位地球近日点距離である。アポロ群とは逆に、アテン群の軌道はその半分以上地球軌道内側にあり、地球軌道外側一時出る小惑星と言えるアポロ群アモール群比べるとその数は少ない。 アテン群に属す小惑星としては、(2062) アテン、(3753) クルースン(66391) 1999 KW4などがある。 なお、地球と非常に酷似し軌道を取る小惑星を、アルジュナ群 (Arjuna asteroid) と呼ぶことがある(ただし、"Arjuna"という名の小惑星21世紀初頭時点では存在しない)。例として、2002 AA29などがある。そのうちいくつかは、地球から見てまるで衛星のように振舞うことから準衛星 (Quasi-satellite) と呼ばれる

※この「アテン群」の解説は、「地球近傍小惑星」の解説の一部です。
「アテン群」を含む「地球近傍小惑星」の記事については、「地球近傍小惑星」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「アテン群」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アテン群」の関連用語

1
アテン型小惑星 デジタル大辞泉
100% |||||


3
AAA天体 デジタル大辞泉
72% |||||


5
特異小惑星 デジタル大辞泉
56% |||||

6
アポフィス デジタル大辞泉
52% |||||

7
地球近傍小惑星 デジタル大辞泉
52% |||||




アテン群のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アテン群のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアテン群 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの地球近傍小惑星 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS