国際社会の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 04:40 UTC 版)
近年は、国家レベルでの、代替肉推進の動きが見られる。 カナダ政府は2018年11月に、植物性たんぱく質に1億5300万ドル投資することを発表。 2020年以降、KFCコーポレーション(ケンタッキー・フライドチキン)、スターバックスといった大手飲食チェーンが代替肉の採用を開始するなど、代替肉参入の動きが活発化している中国では、2人の上級当局者が、植物ベースおよび細胞ベースの肉を推進することを国に要求している。また、中国国家発展改革委員会は、豚熱拡大をうけて、植物性肉への投資を奨励すると発表した。 欧州連合は、温室効果ガス削減のための行動計画を定める「欧州グリーンディール」の中心となる Farm to Forkを2020年5月に発表し、「代替タンパク質の研究に資金を提供」「植物ベースの食事の促進」を掲げた。さらに2021年12月には、フランスとオーストリアの農業大臣が、欧州委員会に対し、EU全体の植物ベースのタンパク質戦略を策定するよう求めている。ヨーロッパの未来に関する会議(英語版)は、2022年5月、 植物ベースの食事への資金提供の提言を盛り込んだ最終報告書を発表した。 2021年7月、イギリス政府委託により策定された国家食品戦略では「英国人は2032年までに肉の摂取量を30%削減する必要があり」、このような劇的な減少は「重大であり、達成するのは容易ではない」が、畜産からのメタン排出を削減し、炭素を貯蔵するために使用できるように土地を解放するために不可欠であると述べている。また同年10月には、イギリスのボリス・ジョンソン首相は気候変動に関する子供たちとのセッションで、「代替肉が研究されており、代替バーガーは肉のバーガーと区別できない」「肉をたくさん食べない未来はまもなく来るだろう」などと述べている。続く12月には、イギリスのオックスフォードシャー州議会が、公式イベントで、肉や乳製品の提供を禁止する規則を可決した。 2021年11月、環境先進国として知られるフィンランドの首都ヘルシンキは、行政主催イベントでの肉類・食肉加工品の提供を禁止する方針を打ち出した。 2021年11月、ドイツでは3党が連立し左派政権発足が発足する見通しとなったが、この3党連立協定には次の項目が盛り込まれた。「私たちは、植物ベースの代替品を強化し、食品業界とEUにおける代替タンパクの革新をサポートします。」。同政権ではベジタリアンのジェム・オズデミルが食品農業大臣に任命された。翌年、ドイツ連邦保健大臣Karl Lauterbach(英語版)は、健康、環境、動物福祉の理由から、肉の消費量を劇的に削減する必要があると述べている。ドイツでは、一人当たりの消費量は2020年と比較して2021年は2.1kg減少、1989年に集計がはじまって以来、過去最低となった。 世界で2番目に大きな肉消費国であるアルゼンチンでは、2021年5月にアルゼンチン環境省が、気候変動対策として、月曜日に食事を肉から植物ベースの食事に置き換えるよう市民に促す「グリーンマンデーズ」キャンペーンを開始した。 2022年、アメリカのカリフォルニア州は、培養肉および植物ベースの肉を研究するために、カリフォルニア大学に500万ドルを資金提供することを決定した。同年、イスラエルでは、農業省と科学技術省が、肉、乳製品、卵の植物性代替品の食品技術研究のための予算をまとめている。 また、WHOは、2021年5月に、代替タンパク質の研究開発などを推進するGood Food Instituteと共催で、代替タンパク質を利用した食品の貿易などに向けた、グローバルな規制のあり方を議論するワークショップを開催している。
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