営団地下鉄の車両の対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 21:05 UTC 版)
「営団日比谷線中目黒駅構内列車脱線衝突事故」の記事における「営団地下鉄の車両の対策」の解説
この事故を受けて営団地下鉄及び後身である東京メトロでは、2002年度以降に製造する車両において車体構造の見直しと台車構造の変更を実施した。なお、輪重とは左右の車輪にかかるバランスのことで、バランスが崩れると脱線の原因にもなるので、定期的に左右のバランスを等しくする必要がある。 2002年度落成の半蔵門線用08系・東西線用05系11次車(翌年度分の12次車も同様)では側構体(車体側面)構造をシングルスキン構造からダブルスキン構造に変更する「セミダブルスキン構造」を採用し、合わせて車体連結部の隅柱に衝突柱を設置して衝突事故時の安全性を向上させた 。さらに曲線通過性能の向上や輪重抜け(輪重バランスが崩れること)の防止、輪重調整作業の作業性向上(従来は台車を分解して調整したが、小形ジャッキの使用で分解を不要化)などを図った新形式の台車を採用した。 2004年度製造の東西線用05系13次車からは車体全体をダブルスキン構造で構成する「オールダブルスキン構造」を採用したほか、車体隅柱に強化したダブルスキン構造の衝突柱を設置し、より安全性を向上させた。 2006年度製造の有楽町線・副都心線用の10000系からは、輪重変動割合の大きいボルスタレス台車から、ボルスタアンカー付き構造台車への採用に戻った。以降の新造車両ではボルスタ構造の台車を採用している。なお、メトロ線を走行する直通運転先事業者(東急(横浜高速含む)・東武・西武・JR東日本・小田急・埼玉高速・東葉高速)および線路共用区間を走行する東京都交通局(都営三田線)の鉄道車両にボルスタレス台車を装備する車両があるが、それらに関しては入線制限の規定を設けていない。 2020年3月28日からは、乗り入れ車両を含み日比谷線を走行するすべての車両がボルスタ構造の台車を採用している。 なお、事故調査報告会の発した前出輪重比管理指示は、台車の狂いは同じでも車体重量が40%も軽くなると相対的に脱線係数が大きくなっていたのを改める指示であり、その最終報告書でも当該03系台車では輪重の不均一が起こりやすく、また操向剛性が比較対象車より若干大きかったことはデータとして指摘したが脱線の原因がボルスタレス台車であるとは断定していない。
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