各訂の比較について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/24 06:41 UTC 版)
「日本食品標準成分表」の記事における「各訂の比較について」の解説
日本食品標準成分表の、特に初訂と比較して、野菜の栄養が減少していると主張する事が、多々見受けられるが、基本的には、野菜の栄養は減少していない。 日本食品標準成分表は(最新のデータを用いて)”国民が日常摂取する食品の成分を明らかにする”(七訂より)のが目的であり、各訂間の比較は全く考慮していない。測定技術の進歩や、昔は旬だけだったのが、現在は通年流通することによる変化(旬を外れると栄養価が低下することがある。特にほうれん草のビタミンCは顕著であるため、夏と冬の値も記載されている。)、品種の変化、名目は同じでも栄養素や食品の中身が変わっている、単位が変わっていることを見落とす、その他、様々な理由で、見かけ上、栄養価が低下したように見えることがある。こうした長期にわたる数値を比較する際は、様々な注意が必要であり、「急激に大きな変化があった時は注意が必要で、本当に変化したのか、 見かけ上変わったかを見極める必要がある。」。ちなみに、ニンジンの場合、在来種(きんとき)より、現在主流の品種(西洋人参)の方が、カロテンが豊富である。又、現在、ニンジンは在来種(きんとき)を別記しているが、版により、西洋人参(濃橙色)を別記している。 初訂は、測定技術の問題もあるが、そもそも、データそのものが乏しい。初期には、海外で纏められた資料も参考にして値を定めている。改訂は初訂のわずか4年後に発行されたものであるが、初訂のデータに、その後収集されたデータを追加したものである。データを十分に集めることができなかったことも記載されている。その際、無機質(鉄とリン)が初訂と大きく異なることが明記されており、「実際の食品中の鉄含量の低下を示しているわけでもない」。鉄について、5訂からは、従来より、はるかに選択性が高く、かつ高感度である原子吸光光度法で測定されている。第二次世界大戦前の食品成分表では鉄含量は、Fe2O3 として記載されていたが、現在は Fe(元素記号)として表されている。鉄の値を初訂と現在とで比較していることも多い。 ビタミンCは、測定技術の進歩により測定データが低くなる為、ビタミンCの減少は、測定技術の進歩で説明できることも多い。 ビタミンA(IU)の値は、改訂までは、カロテンの値(IU)をそのまま用いており、実際の栄養価を計算する際には利用効率を考慮して2分の1で計算するように記載されている。第3訂以降は、利用効率等を考慮して、ビタミンAの値はカロテンの値の3分の1、五訂増補以降は、ビタミンAの値はカロテンの値の6分の1(ただし、現在はレチノール当量(μg)で表示されているため、カロテン当量(μg)からは12分の1で計算)で記載されている。このことに気が付かずに、初訂の値を、そのまま現在の値と比較していることが多々見受けられる。現在、カロテン当量は、α-カロテンとβ-カロテンだけでなく、β-クリプトキサンチンも合わせて計算している。 データ選択の恣意性(チェリー・ピッキング)の問題もある。例えば、ビタミンAやC,鉄などが、この手の話題で良く取り上げられる。トマトは例外的に実際に品種の違いによりビタミンCが減少しているが、この手の話題で良く取り上げられる。
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