各国の体制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 08:28 UTC 版)
日本 行政では決定論的な地震の予知・予報は行っていない。かつて、駿河湾付近を震源域として発生することが想定されている東海地震に限り、プレスリップを根拠とする予知体制が整えられていた(後述)。政府機関である気象庁と学会機関である地震防災対策強化地域判定会が、予知に関して直接の決定を下す仕組みとなっている。なお気象業務法では、地震動の警報、つまり予想震度5弱以上の際の緊急地震速報は気象庁の独占(予想震度がそれ以下の予報は許可事業)としているが、地震予知に関しては定めていない。 アメリカ 連邦レベルでは地質調査所下部機関であるNational Earthquake Prediction Evaluation Council(NEPEC)が観測から短期・長期予測までを担当している。時間非依存の長期的な確率地図であるNational Seismic Hazard Map Project(NSHMP)が提供されているほか、余震の確率を示すShort-Term Earthquake Probability(STEP)が2005年からWebで公開されている。STEPは確率利得が10-100倍になることもあるという。カリフォルニア州では同州緊急事態管理庁の下部機関としてCalifornia Earthquake Prediction Evaluation Council(CEPEC)が置かれていて、3日間の発生確率D(0-0.1%), C(1-5%), B(5-25%), A(>25%)の4段階で示すプロジェクトが試行段階であるが運用されている。また、時間非依存と時間依存を組み合わせた確率地図であるUCERFが作成されている。 ロシア Russian Expert Council(REC) for Earthquake prediction and Earthquake Hazard Assessmentという機関が地震予知に関する公式情報を管轄しており、法律に基づいて政府に伝達する役割を担っていて実際に情報提供が行われているが、市民にまで伝えられることは稀であるという。"Reverse Tracing of Precursors (RTP)"や"M8"などの手法が研究されている。ただ、これまでに何度か、メディアを通じて政府機関から予知情報が出された例がある。 中国 中国地震局(CEA)が研究から発表まで一元的に担っており、観測データを用いて経験的に予知を行っている。地震動によるゾーニング(地震危険度評価)も行われている。直接的には"地震予知管理条例"、"防震減災法"により規定されていて、予知に関する意見は誰でも地震局に報告できる一方で、それを公表する事は制限されており政府の責任で発表される。短期予知は省級自治体が発表することとなっている。 イタリア 行政的な役割はProtezione Civileが担い、科学的な評価などはItalian National Commission for the Forecast and Prevention of Major Risks(CGR)が担っている。時間非依存の確率地図が作成されている。地震予知は制度化されていない。 ギリシャ Earthquake Planning and Protection Organization(EPPO)という機関が地震対策の方針上申や予知の評価を担う。VAN法に対応するためEPPOの下に評価委員会が設置されている。政府としては地震予知は制度化されていない。
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