台湾人の対中意識の変化
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馬英九政権後の中台接近を背景として、台湾人の根強い“反中”感情にも変化が出始めている。2009年、2010年の世論調査では、非友好国ランキング1位に中国が選ばれ、中国に対する不満・不信感は薄らいでいないが、中国は同じ調査で「最も親しくすべき国」の1位にも選ばれ、中台交流を支持する世論が強まっている。 2010年6月の両岸経済協力枠組協議 (ECFA) 締結直後の世論調査では、台湾住民の61%がECFA締結を支持。同年8月に台湾紙・旺報が実施した世論調査では、67%が「中国本土は台湾の発展にとって重要」と答え、前年同期の調査より10%増えた。 もっとも、2010年8月末に実施した聯合報の世論調査では、「永遠に現状維持」が最多の51%(10年前は32%)、「すぐに独立」が16%(同12%)、「現状維持後、独立」が15%(同14%)、「現状維持後、統一」が9%(同20%)、「すぐに統一」が5%(同9%)と、陳水扁政権発足後の10年で統一志向が半減しており、対中感情が改善しても独立意識は弱まる気配はない。 2021年6月、台湾民意基金会が台湾在住の20歳以上の成人1072人を対象に行った中国共産党に対する世論調査では、中国共産党に対して、肯定的な感情を持つ台湾人は10%にとどまり、否定的な感情を持つ人は47%に上り、中国共産党に対して最も強い嫌悪感を感じる場合は0、どんな感情も抱かない場合は50、強い好感を抱く場合は100とすると、台湾人の中国共産党に対する平均は32.2度だった。台湾民意基金会は「台湾人の共産党への感情は氷点下に近い」と指摘している。 2021年8月10日、台湾のシンクタンクである台湾制憲基金会(中国語版)が実施した世論調査の結果を発表し、中台関係は、38.9%が独立を支持、50.1%が現状維持、統一は4.7%だった。また、中台間の軍事的緊張が高まっていることについて、36%が「台湾防衛のために戦場に行く」、28.3%が「戦場に行くかもしれない」、16.2%が「戦場には行かない」と回答した。外交面では、アメリカに好感を持つ人が75.6%、日本に好感を持つ人が83.9%、中国に好感を持つ人は16.4%にとどまり、9割近くがアメリカや日本と正式な外交関係を構築することを支持した。 2021年10月1日、台湾・台北の立法院前で反中国デモが行われ、チベットの旗や「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、時代の革命だ)」と書かれた横断幕が掲げられ、中国の国旗や習近平総書記(国家主席)の肖像を上下逆さまにして落書きをする参加者もいた。
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