取引の種類
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日本の株式市場には、1943年まで長期清算取引があったが、この取引は現代風に言えば個別株式の3か月以内の3連続限月制の先物取引であった。現行の先物取引は、第二次世界大戦後のアメリカの制度を見習い、「実物取引」と「清算取引」の区分を踏襲しながら、長期清算取引については Futures を訳して「先物取引」と呼んでいる。また、当時は、個別株式の先物取引制度は世界的に見ても珍しい。これは、取引制度について、米の先物取引が源流であるためである。又、日本に遅れること1980年代以後には、ブラジルや欧米などで個別株式の先物取引制度が創設されている。 株式取引所での取引は大別して実物取引と差金決済による清算取引からなっていた。 1893年取引所法では、実物取引は「直取引」と呼ばれ、売買成立後5日以内に受渡しによる決済がなされる決まりであった(同時に150日以内受渡しの延取引が導入された)。清算取引は、あらかじめ暦のうえで定められた日に決済を行う定期取引であり、転売と買戻しによる差金決済が可能であった。従来は2か月ないし3か月以内という長期での決済のみであったが、1922年の取引所法の改正(4月19日公布、9月1日施行)で、7日以内受渡し(実際には翌日受渡し)の短期清算取引が導入され(東京では1924年6月より、大阪では改正法施行と同時に、実施)、従来の清算取引(長期清算取引と呼ばれるようになった)との2本立てとなった。 実物取引については東京では、1878年6月から1893年8月までは現場取引、1893年9月から1918年8月までは直取引、1918年9月から1922年8月までは現場取引と呼ばれた。1922年9月からは実物取引と呼ばれ、受渡しは売買日から起算して15日以内とされた。 清算取引については、東京では、1878年6月から1922年5月までは定期取引、1922年6月から1924年5月まで清算取引、1924年6月から1933年2月までは長期清算取引、1933年3月以降は清算取引と呼ばれた。 実物取引と長期清算取引の中間位置に存在したものとして、期日到来後も30日以内に限って受渡し又は差金決済を繰り延べることが可能な短期清算取引が1943年まであった。日歩(又は逆日歩)と配当金調整額・金利調整額・スワップ金利などの違いはあるが、類似の繰り延べ取引(ロールオーバー制度)として差金決済取引や外国為替証拠金取引が現在は存在する。 将来の価格を予想して現時点で約定を結ぶ契約方式には、最終的に実物を受渡す契約(現物決済)と、約定価格と取引最終日の清算価格との差額を現金で決済する契約(差金決済)があるが、先物取引は原則として差金決済のものを指す。 先渡契約は当業者が現物商品を実際に調達するために利用する契約であるのに対して先物取引は価格の変動のみに着目して、将来にわたる価格変動の危険のみを回避(リスクヘッジ)する契約であることが特徴である。 先渡契約では最終的に実物の受渡がともなうため、どうしても当業者(その商品を現実に取り扱っている事業者)が契約の中心となるのに対して、先物取引では金融商品として独立しているため当業者以外のスペキュレーター(投機家)が参加しやすいというメリットがある。 金融先物取引法(昭和六十三年五月三十一日法律第七十七号)において、取引所金融先物取引のカテゴリーとして東京金融取引所の「くりっく365」や大阪証券取引所の「大証FX」を想定とした同法第2条第2項第2号がある。 しかし、「くりっく365」および「大証FX」は、法律上は、先物取引ではあっても、取引の仕組みの定義からの視点で見ると、繰り延べ取引のため、前述のとおり先物取引とは言えない。 同様に、同法には、店頭取引のFXやCFDを想定した店頭金融先物取引のカテゴリーがある(同法第2条第4項)が、店頭FXや現物株式など取引の仕組みの定義からの先物取引ではない店頭CFDについて、法律上は、先物取引ではあっても、取引の仕組みの定義からの視点で見ると、繰り延べ取引のため、前述のとおり先物取引とは言えない。
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取引の種類
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デリバティブ取引には、主な物として、以下の物がある。 外国為替証拠金取引(FX)と差金決済取引(CFD) 先物取引 先渡取引 オプション取引 スワップ取引 カバードワラント クレジットデリバティブ スワップション
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