反セム主義との関係についての主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:13 UTC 版)
「ボイコット、投資撤収、制裁」の記事における「反セム主義との関係についての主張」の解説
詳しくは新反セム主義(英語版)と反セム主義の3Dテスト(英語版)の項を参照されたい。 名誉棄損防止同盟(ADL)や、サイモン・ウィーゼンタール・センター、またイスラエル政府の公式見解として、BDS運動は反セム主義的であると分類されている。これに関連して、ADLの最高責任者であるエイブラハム・フォックスマンは、ニューヨーク市大ブルックリン校の政治学科がBDS運動を促進する目的の会議を後援していることを批判する内容の広告をニューヨーク・タイムズに掲載した。広告においては、フォックスマンはBDS運動を反セム主義的であり、かつ「その最も中心にある」と言及している。 その他の議論としては、以下のようなものが挙げられる。 BDS運動が「ダブル・スタンダード」であるとする議論は、同運動がイスラエルのみを相手取っていること、あるいは、他の政治的状況について判断する基準とは異なる基準を用いてイスラエルに関する判断を下していることを指摘している。例えばチャールズ・クラウトハマーは「イスラエルは世界で唯一のユダヤ人国家である。他の国には用いないようなダブル・スタンダードを、ユダヤ人の国家であるイスラエルに対して適用するということは、他の誰を評価する際にも用いないような方法である特定の人々に関する評価を下すことである。それはすなわち、ある特定の人々のみを取り上げて非難と隔離を行うことであり、著しく差別的な行為である」と述べた。アラン・ダーショウィッツは、BDS運動の支持者らがイスラエルのみを人権侵害を行っているとして取り上げる手法を、ハーバード大学長だったアボット・ローレンス・ローウェル(英語版)が20世紀初頭に、反ユダヤ主義的な規定を強いた自身の決定を弁護した際の手法と比較している。まず、なぜユダヤ人に対する規定が必要なのかという問いかけに対し、ローウェルは「ユダヤ人はずるをする」と答えた。そこで今度は、クリスチャンであってもずるをすると指摘されると、ローウェルは「君は主題を変えようとしている。我々は今、ユダヤ人について話しているのだ」と答えたという。 BDS運動の支持者たちは反セム主義的な主張を行っている、あるいは反セム主義的な活動を実施しているとする告発がなされている。例えば一部の支持者たちは、イスラエルによる現在のアラブ人に対する措置を、ナチス時代のドイツがホロコーストの際にユダヤ人に対して行った措置と比較し、イスラエルの自決権を否定している。オーストラリアンは、インターネット上に存在するホロコーストを否認する内容の出版物の刊行や、「ユダヤ人とユダヤ人を愛する者たち」に対する攻撃の扇動などの活動を、BDS運動の支持者に起因するものとして議論している。 BDS運動と、歴史上のユダヤ人マイノリティに対する差別的措置の間には、類似する点や、実際に共通する点がみられる。例えば、ナチスによるユダヤ人事業に対するボイコット運動(英語版)などがこれにあたると言われている。 BDS運動は、反セム主義における所謂「クリーピング・ノーマリティ(英語版)」の重要な一歩であるとする議論が存在する。なおクリーピング・ノーマリティとは直訳すれば「忍び寄る常態性」となり、徐々に変化するものには気付きにくく、知らぬ間に受け入れている状態のことを指す。 パレスチナ人の領土にイスラエル人が継続して存在している事実に反対し、アラブとイスラエルの和平交渉を支持するイスラエル人であっても、BDS運動、とりわけアカデミック・ボイコットのターゲットとなることがある。 マイアミ大のイラ・シェスキンや、ユダヤ人公共問題協議会(JCPA)(英語版)のイーサン・フェルソンによれば、BDS運動は時折、アラブ・イスラエル紛争に関しては何の関係もない、あるいはわずかにしか関係を持たないユダヤ系個人をターゲットにすることがある。
※この「反セム主義との関係についての主張」の解説は、「ボイコット、投資撤収、制裁」の解説の一部です。
「反セム主義との関係についての主張」を含む「ボイコット、投資撤収、制裁」の記事については、「ボイコット、投資撤収、制裁」の概要を参照ください。
- 反セム主義との関係についての主張のページへのリンク