半身
★1.大砲に吹き飛ばされて、身体が左半身と右半身に分かれる。
『まっぷたつの子爵』(カルヴィーノ) メダルド子爵は戦場で大砲に吹き飛ばされて、身体が左右に引き裂かれ、悪半身と善半身に分かれる。悪半身の悪行と善半身の善意は、ともに人々を苦しめる。悪半身と善半身は、羊飼いの娘パメーラと結婚しようとし、決闘をして相討ちで倒れる。両半身は包帯で1つにまかれ、メダルドは善悪の入り混じったもとの身体にもどる。
*双子の一方が善良、他方が邪悪→〔双子〕1cの陸地と動植物などの起源譚(北アメリカ・ヒューロン族の神話)。
『腰抜け二挺拳銃』(マクロード) 気弱な歯医者ピーターと恋人カラミティ・ジェーンが、インディアンに捕らわれる。インディアンたちは2本の木を曲げ、ピーターの右足を一方に、左足を他方に縛りつけて、股裂きの刑を行なおうとする。ジェーンもその後に火あぶりにされる運命である。ピーターはジェーンに言う。「天国へ行ったら2人の夫が待ってるぞ。2人とも僕だ」〔*木に縛られた靴がぬげ、ピーターは空中に飛ばされて命拾いする〕。
『胴斬り』(落語) 男が夜道で侍の試し斬りに遭い、上下に真っ二つにされる。幸い命に別状なかったので、上半身は風呂屋の番台にすわり、下半身は麩を踏む職人となって働く。上半身は下半身に「脚に灸をすえてくれ」と頼む。下半身は上半身に「水や茶をあまりガブガブ飲むな」と言う〔*下半身が上半身に「女湯の方ばかり見るな」と言うオチもある〕。
『酉陽雑俎』巻15-581 景乙の病妻が、「わたしの身体の半分が切り取られ、東の農園へ行ってしまいました」と訴える。乙は驚いて農園へ行くと、怪しい物が竹の器をさげており、その中に妻の半身があった。乙は驚愕して倒れたが、怪しい物は逃げ、妻の半身も消え失せたので、乙は家へ引き返す。妻の身体には、眉間から胸にかけて赤い傷跡があり、次のように語った。「わたしは前生、人の後妻になり、子に乳をやるのを惜しんで死なせました。そのため告発され、冥界の裁きで、身体の半分を切断して戻されたのです。あなたがいなければ、わたしは死んでいました」。
『南島の神話』(後藤明)第1章「南島の創世神話」 原初女神が夫なしに男女の双生児2組を産み、彼らは2組の夫婦となった。末子の男児と姉との間には、手も足もなく丸い子供が生まれた。姉は我が子を小刀で真っ二つに切って、一半を川の源(=山)へ、他の半分を河口(=海)へ投げた。この2つの半身が、この世の最初の人間、山の民と海の民になった(ニアス島〔=スマトラ島の西にある島〕)。
*ゼウスが球状人間を、縦に真二つに切り分ける→〔人間〕1bの『饗宴』(プラトン)。
★6.半身の人の国。
『和漢三才図会』巻第14・外夷人物「一臂」 明代の百科全書『三才図会』によれば、一臂国は、西海の北にある。その国の人は、一目・一孔・一手・一足の半体で、2人が一組となり、肩を並べてはじめて歩くことができるのだという。
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