医療系の学生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 06:51 UTC 版)
「ウィキペディアの健康情報」の記事における「医療系の学生」の解説
ウィキペディアにおける健康についての情報は「我々の次の世代の医師が医学をどのようにして学ぶかを体現している」と表現されてきた。健康教育についての様々なコメンテーターは、ウィキペディアは医療系の学生にとって、人気でしかも便利であると述べてきている。 2013年に、オーストラリアにある医科大学で行われた研究によれば、学生の97パーセントが医学を勉強するのにウィキペディアを利用していることが示され、その最も大きな理由はアクセスのしやすさと、理解のしやすさであることが明らかになった。学生の医学部での学年と、その学生のウィキペディアの使用との間に因果関係は見いだせないものの、成績が優秀な医学部の学生は、ウィキペディアを最初に参照する情報源、唯一の情報源、あるいは最もよく使う情報源として使っている割合が低いことが明らかになった。彼らは、ウィキペディアが信頼できない情報源であるとみなす割合が高いことも明らかになっている。 同じ2013年には、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の医学部(英語版)は、医学科の4年生の学生に対し、ウィキペディアの健康関連の記事を改善させることをその内容とする1か月間の選択科目を開講した。2013年から2015年までの間に、43人の学生がこの選択科目を受講し、各自が、改善させたいウィキペディアの健康関連の記事を1つ選んだ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部の学部学生によるこの取り組みについての研究によれば、学生らは自身の選んだ記事を加筆したり、高品質の情報源を追加したり、低品質の情報源を除去したり、可読性を向上させたりした。この研究の著者は、医学部は、その学生に対してウィキペディアに貢献するように促すべきであると主張し、その根拠として、ウィキペディアの記事の品質を向上させることができること、学生にとっても、よりよい、健康維持についての教師になることができることを挙げた。 同じく2013年に行われた、獣医学部の学生の特定の集団を対象とした研究においても、生徒の大多数が、ウィキペディアに医学についての情報源を求め、そして見つけていることが明らかになった。 2年後の2015年には、ヨーロッパの医科大学5校を対象とした研究が行われ、一般的な情報を得るのにウィキペディアを使っている学生は、医学についての情報を見つけるのにもよりウィキペディアを使っている傾向が強いことが明らかになった。学生の16パーセントは一般的な情報を得るのにしばしばウィキペディアを使っており、時々使っているのは60パーセントで、残る24パーセントは滅多に使っていなかった。また、学生の12パーセントは、医学についての情報を得るのにしばしばウィキペディアを使用しており、55パーセントは時々利用しており、残りの33パーセントは滅多に利用していなかった。全体の97パーセント、すなわちほとんど全ての学生は最低でも1回、ウィキペディア上で不正確な情報を見つけたことがあったが、それを修正したのは彼らの20パーセント未満に過ぎなかった。 同じく2015年にはカナダ・ノヴァスコシア州にあるダルハウジー大学医学部の学生を対象とした研究が発表され、彼らはグーグルとウィキペディアを、そのアクセスしやすさ、理解しやすさ、役に立つ度合いで高く評価したが、正確性と信頼性についてはそれらよりPubMedを高く評価したことが明らかになった。 2年後の2017年には、オーストラリア・メルボルン大学の医学・歯学・健康科学部(英語版)医学科の1年生による、インターネット上の情報源の使用についての研究結果が発表された。それによると、学生が最もよく使っていた情報源は、毎日使用されていた大学のオンライン学習用のプラットフォームで、グーグルとウィキペディアはそれよりわずかに使用頻度が低かったが、やはりほぼ毎日使われていた。また、学生は、大学のオンライン学習用のプラットフォームを最も役に立つとみなしたが、次に役に立つとみなしたものはグーグルとウィキペディアであったが、それらはオンライン学習用のプラットフォームよりわずかに役に立たないというだけで、フェイスブックやGoogle scholarと比べればはるかに役に立つとみなしている。学生らはまた、大学のオンライン学習用プラットフォームを最も信頼できるとみなし、g-グルやウィキペディアはそれに比べて圧倒的に信頼性は低いとみなした。それでも、学生は、情報を見つける際の出発点として、両方のウェブサイトを頻繁に利用していた。 同じ2017年には、フロリダ大学の医学部(英語版)医学科の一般的な手術のクリニカルクラークシップ(英語版)中の学生を対象とした研究が行われた。それによれば、復習のための本が、最も一般的に使われていた学習のための情報源であり、その次に使われていたのがインターネットであった。ウィキペディアは3番目によく使われている情報源であり、インターネット上の情報源としては最もよく使われていた。この研究では、学生が使用している情報源の種類と、その学生の国立医療試験審議会(英語版)における外科の試験における成績との間に、相関は一切見いだせなかった。
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