効果と適応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 07:12 UTC 版)
「アナボリックステロイド」の記事における「効果と適応」の解説
男性ホルモン作用(アンドロゲン作用)については「男性ホルモン」を参照 そもそも生体から分泌される男性ホルモンの代表であるテストステロンの効力を改善するために合成されたことから、そのテストステロンに類似した物質であり、「蛋白同化ステロイド」 や「蛋白質同化性ステロイド」 あるいは「蛋白同化剤」 や「タンパク質同化ホルモン」 との訳語に明らかであるように、蛋白同化作用を強める働きを持つ。蛋白同化とはすなわち、摂取したタンパクを細胞内組織に変える働き(おもに筋肉において)のことである。 アナボリックステロイドには「アナボリック・アンドロジェニックステロイド」(anabolic-androgenic steroid - AAS)――「男性ホルモン作用蛋白同化ステロイド」という異称がある。 米国スポーツ医学会は、数名の個体において、アナボリックステロイドが適切な食事摂取のもとで脂肪を付けることなく体重を増加させることに寄与し、また、強度の運動と適切な食事のもとで達せられる筋力増加がその使用によってより促進されることを認めている。 アナボリックステロイドは医療用に処方されることがある。その蛋白同化作用を用いて、骨粗鬆症や慢性の腎疾患の治療、あるいは怪我や火傷による体力の消耗状態の改善などを目的に用いられている。日本において医療用に処方されるアナボリックステロイドには、メスタノロン(英語版)製剤とメテノロン製剤という2種類がある。前者は骨粗鬆症、下垂体性小人症、慢性腎疾患、悪性腫瘍、外傷/熱傷による著しい消耗状態などの治療に用いられ、ヘモグロビン量や赤血球数の増加などの造血作用をも示す後者は、これらに加えて再生不良性貧血による骨髄の消耗状態の治療に用いられている。再生不良性貧血は骨髄中の造血幹細胞がなんらかの原因で障害されて生じる貧血である。一般に再生不良性貧血の治療は免疫抑制療法・骨髄移植・蛋白同化ステロイド療法などがある。そのうち蛋白同化ステロイドは軽症例に使用する。蛋白同化ステロイドの疾患への効果のメカニズムとして、腎臓に作用してエリスロポエチン(赤血球産生を刺激するホルモン)を出させる働きと、造血幹細胞に直接作用して増殖を促す働きが考えられている。 HIVによる消耗状態に対する投与の治験も行われている。
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