効果と影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 13:58 UTC 版)
「クラッキング (関節)」の記事における「効果と影響」の解説
そもそも個人のクラッキングは爽快感を得るために行われるケースが多い。整体師などによるクラッキングや自分で一回クラッキングした程度では問題ないとされるが、習慣化すると様々な悪影響が出てくる。空洞が発生し消滅する際に強い衝撃波が生じ、これによって関節内部を冒し、損傷している可能性があるという。これをエロージョン (Erosion) という。特に首の場合は、脊髄があるため、エロージョンによって、手足の麻痺から最悪の場合、生命に関わるおそれもある。具体的には首の関節を頻繁にクラッキングすると、椎骨の先端部分などが傷つけられてしまうことがある。すると、それを修復しようと、骨が増殖し、骨棘が発生しそれが神経を圧迫し、頚椎症性脊髄症などを発症してしまう場合もあり得る。その他、頭痛、肩こり、耳鳴り、手足の痺れなどの症状に悩まされる可能性もある。また、クラッキングを繰り返している内に、損傷を受けた軟骨を修復するために関節が肥大してくる。このため関節が太くなってくる。これらのことから、個人が自分の関節をクラッキングするのはなるべく行うべきではないとする意見がある上に、生命に関わる事件も実際に起きている。2022年、ハーバード大学医学部によると、肩の痛み、肩の衰弱、肩の動きは不便に制限されており、肩の怪我による肩のクラッキングは医師に相談する必要がある。 さらに、長年にわたって無理に関節を曲げると靭帯が緩んでしまい、これによって余計に疲れを感じてしまうようになるという危険性も指摘されている。 にもかかわらず、クセになってしまう理由には諸説ある。たとえば、硬くなった関節周囲のストレッチで、疲労物質が流し去られるために快感を得て、心地良いと感じるからだとされる説がある。関節内部は痛みを感じないため、クラッキングによる強い衝撃を受けても、ストレッチによる快感だけを感じてしまう。 ドナルド・L・アンガーは60年以上にわたり、毎日左指の関節を鳴らす一方で、右の指関節は決して鳴らさないということをこつこつ続け、指の関節炎の原因を研究した。その「功績」により、2009年にイグノーベル賞(医学賞)を受賞した。どちらの手にも関節炎の症状はないという。
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