労働組合に関する決議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:05 UTC 版)
「第一インターナショナル綱領」の記事における「労働組合に関する決議」の解説
マルクスは労働組合に関する歴史的決議を提出し、同案を採択に導いた。 「労働組合―その過去、現在、未来(1)資本は集中された社会的力であるが、これに反して労働者は自ら個別的労働しか保有していない。それ故に労働と資本との契約は、(所有と被所有の関係において)平等な条件に基づくことはできない。労働者の唯一つの社会的力は自らの数である。この数はしかし、不一致により分散し弱められてしまう。労働者階級の社会的力の分散は、職を求めての不可避の競争によって惹き起こされ持続せしめられる。労働組合運動は、資本の専制的命令に抵抗し、労働の機会を求める相互の競争を阻止ないしは少なくとも抑え、これによって労働者を正に奴隷の水準から引き上げる……試みとして始められた。このことからして労働組合運動の直接的目的は、労働と資本の間の日常的抗争、要するに賃金と労働の時間に限定されることになる。労働組合のこれらの活動は単に正しいことのみならず、絶対必要なことであって、現体制が存続する限り免れられない活動である。さらに、これらの活動は労働者の同盟によって普遍化されなればならない。……労働組合は、賃労働および資本家的支配の廃絶のために組織された団体としていよいよ重要である。 (2)労働組合は、……政治運動に対して超然としてきた。 (3)資本家の侵害に対する日常闘争を避けることなく、労働組合は労働者階級の完全な解放のために、彼らの「中核」として意識的に行動することを今や学ばなければならない。労働組合は……あらゆる社会的ならびに政治運動を支援しなければならない。全労働者階級の擁護者および代表と任じるべきであり、……低賃金労働者の利害に周到な配慮をめぐらすべきである。かくのごとき行動は、不可避的に未熟練労働者の大群を惹きつけることになり、そして労働組合は狭隘な利己な利害を追及するものではなく、むしろ蹂躙された民衆を解放するために働いているという確信を彼らに抱かせることになろう。()内筆者記述。」 マルクスは、労働組合の社会的歴史的な意義を非常に重視し、これまでの経済的利害の闘争と労使交渉に留まらない価値を主張しようとしていた。かれは社会革命的な役割を労働組合に付与し、全労働者階級の先陣として見なし、労働組合運動を鼓舞して、労働組合とその連合(歴史的にはブリテンのTUC・労働組合会議が代表例)を資本家による階級支配に対する要塞へと作り変え、また、すべての労働者階級、そして社会主義勢力の政治力を強化しようとする考えを鮮明にしたのである。これ以降、IWAへの労働組合の加入は増加し、また同時にIWAの指導下にあって労働闘争は一層激しく展開していくこととなる。 「第一インターナショナル」も参照
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