前情報技術世代の通信
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/11 06:19 UTC 版)
飛脚・早馬等の、メッセージを携えた・場合によっては言葉で記憶した人間が直接移動する事が、通信技術の最初の形態であろう。これらは、初期の段階に於いて言葉でメッセージを「伝言」した訳だが、これらは伝送距離(伝える者の移動距離)が長いほど、またはメッセージが長いほどに伝える者の記憶違いや書簡の汚損により通信にエラーが発生しやすい。また事実関係を確認するために、別の使者を用立てて確認させに行くなど、双方向通信では莫大な時間を必要とするのが常である。 一方の狼煙は、伝達情報量が一定の範囲(情報量単位は十数秒で一ビット)でしか利用できないが、通信中継所を複数設けることで、数ビット程度の情報なら晴天・日中の条件下に於いて、数分で100kmは伝えられるとすら云われる。特に事前にパターンを幾つかの意味(短く煙2回なら「獲物の群れがきた」、長く煙を立ち上らせたら「明日は集会」など)を決めておく事で、長距離通信に用いられた。良く似たものでは万里の長城における灯明通信(「灯明台に点火する」という一ビット通信で敵襲を数百km離れた都に短時間のうちに知らせる事が出来た)が知られている。特に中継所を常時維持しなければ成らないため、かなりの設備維持費が掛かる訳だが、当時としては他の如何なる通信技術をもってしても太刀打ちできない超高速通信であった。 後に光学技術の発達、殊に望遠鏡の発明により、文字コードの伝送可能性が肉眼の限界を越えて拡大した。腕木通信、手旗信号やランプの入り切りによる"optical telegraphy"(日本語の定訳はないが、強いて意味をとれば「光学伝信」)へと改良され、更に高速に、より大容量の通信密度を持つ物になっていった。これらは、無線通信技術が発達し、広く普及する頃まで利用された。
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