刑罰化の是非をめぐる動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 02:25 UTC 版)
「ラッシュ (薬物)」の記事における「刑罰化の是非をめぐる動向」の解説
こうした一方、ラッシュで刑事罰を受けた当事者の声として、KEN(インタビュー動画)「LASH VIDEO RUSH(ラッシュ)で逮捕、その後」、塚本堅一『僕が違法薬物で逮捕されNHKをくびになった話』(2019年8月 KKベストセラーズ)などが発表され、その規制のあり方について、見直しの動きも出ている。 2015年1月、危険ドラッグを所持していたとして、警視庁から任意での事情聴取を求められた東京都庁の男性職員(59)が、聴取予定日の前日に自殺した事件も報じられた。 2017年7月、ラッシュを個人輸入しようとして医薬品医療機器等法並びに関税法違反で起訴された東京近郊の元地方公務員が、ラッシュを「指定薬物」とした審議過程が不十分であったこと、ラッシュは「指定薬物」の要件に該当しないこと、などを理由に公判で係争中であったが、2020年6月18日、千葉地方裁判所で懲役1年2ヵ月、執行猶予3年が言い渡された。控訴を予定している。 裁判では、「指定薬物」は「麻薬又は向精神薬と類似の有害性を有することが疑われる物質」(「違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)対策のあり方について(提言)」平成17年11月25日 脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会)の規制を前提とし、①「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く」、かつ②「人の体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物」(旧薬事法第2条14)を要件とするが、ラッシュには、①②ともに国内での十分なエビデンスがなく、2006年11月の指定薬物部会での審議においても、その点の審議はなされていないこと、しかも、部会の資料でラッシュに中枢神経系の作用があるとされた典拠論文「アメリカン・ジャーナル・オン・アディクション」では、薬理作用として「血管拡張による血圧低下」が挙げられ「中枢神経への作用」への明記がないこと、ラッシュは、アルコール、ニコチン、ヘロイン、大麻などと比べても各段に有害性が低いにも関わらず量刑が不均等であること、などを訴えている。 こうした動向は、ハームリダクション、再犯防止推進計画などの潮流とも関わるものといえる。
※この「刑罰化の是非をめぐる動向」の解説は、「ラッシュ (薬物)」の解説の一部です。
「刑罰化の是非をめぐる動向」を含む「ラッシュ (薬物)」の記事については、「ラッシュ (薬物)」の概要を参照ください。
- 刑罰化の是非をめぐる動向のページへのリンク