全地総主教としての実績
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「ヴァルソロメオス1世 (コンスタンディヌーポリ総主教)」の記事における「全地総主教としての実績」の解説
全地総主教としては、彼は国際的に大いに活躍している。彼の最初の目標の一つは共産主義が1990年に崩壊した後、東側諸国において弾圧を経験した正教会を再建することであった。そのための努力の一環として、ヴァルソロメオスは相互領聖関係にある諸民族教会と諸総主教庁との関係の強化に動いた。またローマ・カトリック教会との和解のための対話も、前任者達と同様に継続している。また、他のキリスト教諸教派も含め、イスラームやユダヤ教との対話も始めた。 おそらく特筆されるべきは、ヴァルソロメオスは環境主義者として極めて高い評価を得ている事であろう。総主教庁は様々な国際的環境問題に対して支援を行っている。この事によってヴァルソロメオスは「緑の総主教」(the Green Patriarch)、「緑のパパ」(the Green Pope)とも呼ばれている。2002年にはソフィー賞を受賞した。また、アメリカ合衆国政府の立法府によって与えられる賞としてはおそらく最高位の栄誉である議会名誉黄金勲章も受章している。 ヴァルソロメオス1世は、1924年から行われていなかった、正教を更新するための遠隔地における奉神礼を、トルコ政府の国家主義に圧迫されつつ行っている。ヘイベリ島(ハルキ島)にある総主教庁のハルキ神学校はトルコ政府の命令により1971年から閉鎖されたままである。 全地総主教ヴァルソロメオスの終身地位は、これまでのところ正教会間の協力関係、教派間および宗教間の対話、正教諸国・イスラーム諸国への訪問によって特徴付けられている。教会の高位聖職者・政府の高官との相互訪問が数多く行われている。彼が宗教上の自由と人権を向上させようと努力していること、世界における宗教的寛容を促進するにあたって主導していることは広く知られている。 ギリシャ語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。2006年11月30日の宣言 ローマ教皇ベネディクト16世が2006年11月にトルコを訪問した際、イスタンブールをヴァルソロメオス1世の招待により訪れた。ベネディクト16世は、最初の使徒でありコンスタンディヌーポリ教会の守護聖人である聖アンドレアスを記憶する奉神礼に参祷した。これはローマ教皇による全地総主教庁訪問としては3回目のものである(1回目は1967年のパウロ6世によるもの、2回目は1979年のヨハネ・パウロ2世によるものである)。 2006年11月19日にトルコの日刊紙「サバフ」(Sabah)に掲載されたインタビューの中で、ヴァルソロメオス1世は宗教上の自由と、ローマ教皇のトルコ訪問の話題に触れた。その中でヴァルソロメオス1世は「トルコ市民として、我々は税金を払っています。兵役に就いています。選挙に参加しています。我々は市民として全てを行っています。我々は同等の権利を求めています。だがそれは実現されていません。(中略)もしムスリムが神学を学びたいと欲すれば、24時間開いている神学教育機関があります。さて我々はどこで学びます?」と述べ、ハルキ神学校が閉鎖されている事に言及した。また、「我々は6世紀より、この称号を保持してきているのです。(中略)『全地』の語は政治的内容を含みません。(中略)この称号は私が主張する唯一つのものであります。私がこの称号を取り下げる事は絶対にありません。」とも述べ、トルコ政府によって承認されていない「全地」の称号の問題についても言及した。
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