信仰・民俗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:45 UTC 版)
日本文化においては、単なる食糧品に止まらず、古神道や神道における稲作信仰に起因する霊的価値を有する穀物である。地鎮祭や上棟式、農林水産の職業的神事、また日本各地の祭りで、御神酒や塩などとならび供物として奉納される。天皇が五穀(中心となるものはコメ)の収穫を祝う新嘗祭(「勤労感謝の日」として国民の祝日となっている)は宮中における最も重要な祭祀であり、天皇即位後最初の新嘗祭である大嘗祭は、実質的な践祚の儀式と認識されている。 「米」の字を分解すると八十八とも読めることから、付会して八十八行程を経て作られる、八十八の神が宿る、また「八十八人の働きを経て、はじめて米は食卓にのぼるのであるから、食事のたび感謝反省しなくてはならない」など、道徳教育のための様々の訓話が構成された。 日本のみならず、東アジアにおいてはイネを精霊の宿る神聖な作物とみなし、これに不敬な行為を行うと食物より滋養は得られず、また田畑に蒔いても凶作を呼ぶと言い伝えられている。伏見稲荷大社では、秦の長者が餅を的にして矢を射たところ、餅が白い鳥となって飛び山峰にとまったため、彼が鳥をイネの精霊と気づいてそこに神社を建てこれを祭ったことが起源とされている。なお、異説では精霊を祭った秦の長者には不毛は訪れなかったが、ただ餅を射ただけの富裕者は天罰を受け没落したともいわれる。 米が貴重だった昔、黒瀧寺(徳島県)周辺には「米養生」という習慣があった。重病人の枕元で、生米を竹筒に入れて振った音を聞かせると治るという俗信である。
※この「信仰・民俗」の解説は、「米」の解説の一部です。
「信仰・民俗」を含む「米」の記事については、「米」の概要を参照ください。
- 信仰民俗のページへのリンク