保安林の指定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 14:59 UTC 版)
保安林の指定は原則として民有林は都道府県知事、国有林は農林水産大臣が行うが、2都道府県以上に跨る河川の流域(河川法における一級河川相当の河川の流域と説明されることもある)における3大保安林(水源かん養保安林、土砂流出防備保安林、土砂崩壊防止保安林)に関しては民有林であっても農林水産大臣の権限で行う。ちなみに下記の解除も同様である。 保安林は所在地(地番)で指定され、不動産登記では地目「保安林」と記載される。ただし、地番の一部だけを保安林とする場合は地目「山林」などとして登記されており、登記簿を見ただけではわからないようになっている。保安林の各種の情報(所有者、所在地、図面、保安林の種類、伐採の条件、保安林指定日等)は、都道府県の保安林担当の部署が保安林台帳を作り管理しているため、ある地番が保安林に該当するかどうかは都道府県に問い合わせるのが最も早く確実である。 民有地で新たに森林を保安林に指定したい場合、形式上はその所在地(地番)の森林を所有する所有者が都道府県に対し各種申請書を提出し、都道府県ではそれを審査し指定の可否を判断する。ただし、実際には用意する書類が多いこともあり、森林所有者には保安林指定への同意書だけを書いてもらって、都道府県の保安林担当者が各種資料を用意して都道府県知事の名前で申請書一式を作り審査に臨むということが多い。前述のように治山事業を行うためには該当森林を保安林へ指定することが条件となっていることから、荒廃地を治山事業で復旧したい市町村や都道府県の担当者が森林所有者に状況を説明して同意書を書いてもらうこともある。 原則は該当地番一筆を全部保安林に指定することを目指して所有者と交渉する。樹木の伐採や土地の利用に制限がかかることから一筆保安林指定に難色を示す所有者もおり、その場合は分筆後の再申請、もしくは地番のうちの一部を保安林とすることで妥協することもある。申請書は都道府県の本庁を経て農林水産省で審査を受け、保安林指定が決まった場合は官報で告示される。この告示日が保安林指定日となる。告示後しばらくしてから登記簿の地目の変更が行われ、登記簿上も保安林に変わる。保安林に決まった区域には保安林の種類が書かれた黄色い四角形の標識や棒状の標柱が建てられるが、かつて指定された場所を中心に標識・標柱がない区域も多数ある。 保安林を示す標識(岐阜県) 保安林を示す標識。地域や年代で微妙にデザインが異なる(北海道) 保安林を示す標柱(岐阜県) 地図付きの保安林の看板
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