伊福部昭との師弟関係
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今井は、師・伊福部昭とは常に深い交流を続けていたという。師からは、単に音楽に関わる理論や精神だけでなく、 老子の哲学まで、全人間的な幅広い示唆を受けた、と本人は語る。盟友・池野成を始め、芥川也寸志、黛敏郎、矢代秋雄、小杉太一郎、山内正、松村禎三、眞鍋理一郎、三木稔、原田甫、永富正之、石井眞木ら伊福部の愛弟子たちとともに、師の創作活動への献身的サポートも行なったようだ。講義や机上ではなく、実際に師の創作過程、作曲行為に直接関わることで、「音楽とは何か」、「音楽を創る意味とは何か」、「己の志向に則った響きをどう導き出すのか」、といった、音楽家としての創作姿勢のすべてを伊福部から学んだ、と述べる。 今井も含め、このような伊福部昭の教えを最初期に受けた者たちの集まりを、通称“伊福部昭・古弟子会(ふるでしかい)”と称する。一方、彼らより20年以上後に弟子となった、永瀬博彦、甲田潤、和田薫、石丸基司、今井聡らは、“伊福部昭・新弟子会(しんでしかい)”と呼ばれている。新弟子会の面々は、晩年の伊福部が東京音楽大学時代に師弟関係を結んだ音楽家が中心となっている。ただし、これらはいずれも正式に組織化されているわけではなく、あくまで関係者の間での通称である。伊福部自身も、特にそうした枠組みは意識していなかったようだ。 前出の純音楽での活動の項でも記したが、今井は2002年(平成14年)、伊福部昭の米寿を祝う演奏会で、師に献呈する『オーケストラの為の「悠久の舞」』を作曲し、今井自身の指揮、新交響楽団の演奏によって発表した。同作品は、偉大なる師に対する弟子・今井の敬意が込められた、新たな代表作となった。 今井は“古弟子会”のまとめ役(幹事長的な役割)を担ってきたという関係から、現在も伊福部昭に関連する種々の企画に監修役的立場として参加する機会が多い。世界的名著として評価の高い伊福部昭著『管絃楽法』上下巻の改定復刻版(『定本 管絃楽法』 / 2008年、音楽之友社)の刊行に際しては、編集・制作委員長を務めた。
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