代替役務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:12 UTC 版)
2004年8月、韓国の憲法裁判所は、良心的兵役拒否を処罰する兵役法について、裁判官7対2の意見で合憲とした。一方、合憲意見を出した裁判官のうち5人は「代替服務制」の導入を勧告した。国連の自由権規約人権委員会や人権理事会は、2005年から繰り返し、韓国に対して良心的兵役拒否を認めるよう勧告している。国連からの要請を受けて、盧武鉉政権では代替服務制を推進したが、その次の李明博政権は「代替服務制導入は時期尚早」として、この議論は衰退した。 韓国の国家人権委員会は、「良心的兵役拒否者を処罰することは、普遍的人権である良心の自由を侵害する」という見解を出している他、国防部に良心的兵役拒否者の代替服務履行計画の策定を要求している。 2018年6月28日、韓国の憲法裁判所は、現在の良心的兵役拒否者に対する処罰は合憲としたものの、代替服務制を兵役の種類として規定していない条項は憲法に合致しないとして、2019年12月31日までに兵役法を改正し、代替服務制の導入を求めた。 2018年11月1日、韓国の大法院(最高裁に相当)は、「刑事処罰などを通じて兵役義務の履行を強制することは良心の自由に対する過度な制限になる」と述べ、6月28日の憲法裁判所による「代替役務の規定が無い兵役法は憲法違反であるものの、兵役拒否者に対する処罰は合憲」とする判決から一歩進み、「処罰も憲法違反である」との考えを示し、兵役法違反に問われていた兵役拒否者に対しての有罪判決を破棄し、下級審へ差し戻した。 2018年12月28日、韓国国会は、代替服務(代替役務)について「刑務所など大統領令で定める機関において、徴兵期間よりも長い36か月の期間に渡って合宿形式で勤務する」という内容の兵役法改正案を本会議で可決した。 2020年7月15日、韓国の兵務庁は、最高裁(大法院)で無罪判決を受けた兵役拒否者について、代替役務に就くことを認める決定を下した。兵役拒否者は2020年10月から「代替服務要員」として召集され、法務部の矯正施設(刑務所)において合宿形式で、現役服務期間の2倍にあたる36か月間、給食・物品・保健衛生・施設管理などの補助業務に就くものとされた。 2020年10月26日、良心的兵役拒否者に対する代替役務制度が正式に発効し、第一陣となる対象者63名が大田にある刑務所に召集され、代替役務を開始した。対象者は刑務所内の「代替服務教育センター」で3週間の講習を受けた後、保健・衛生・物品供給・施設管理などの業務に従事する。
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