代替手段や研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 15:31 UTC 版)
「#議論」も参照 ω-3脂肪酸による抗うつ作用は議論されてきた。2015年のコクラン共同計画によるシステマティック・レビューは、臨床的に有意ではない小さな効果を見出しており、また研究の質が十分ではないと結論した。2016年の別のアナリシスは、有効だということを見出した。 コクラン共同計画によるS-アデノシルメチオニン (SAMe) のレビューでは、結論を導くための質の高い研究がないとした。 L-アセチルカルニチンでのシステマティック・レビューでは、12のランダム化比較試験があり、3研究では抗うつ薬と比較して同等の効果であり副作用が抗うつ薬より少なく、また高齢者で特に有効だということを示唆した。高齢者で行われたランダム化比較試験では、フルオキセチン(プロザック)と同等の効果を示したが、1週間で効果を示し、フルオキセチンでは2週間かかった。この早い作用から異なる作用機序に注目されている。 テトラサイクリン系抗生物質のミノサイクリンは、メタアナリシス・システマティックレビューで大きな抗うつ効果が示された(効果量:-0.78 :95%CI:0.4-1.33、P=0.005 であり、前述の通り現行の抗うつ薬は0.32であり臨床的に有意な効果ではない)。抗生物質の使用は、薬剤耐性菌を生む問題があり感染症においても適正使用が言われており、感染症でもない状況での抗生物質の不適切使用は戒められる。 抗うつ薬は抗菌効果を有するという報告がある。うつ病治療における抗うつ薬の抗菌メカニズムを評価し、抗うつ薬耐性への影響を決定するために、さらなる研究が必要とされている。抗うつ薬と膜輸送体OCTN1の薬物相互作用が研究されている。OCTN1によるエルゴチオネインの脳への取り込みは海馬歯状回における神経新生を促進し、抗うつ効果を発揮する可能性が示唆された。 モノアミン仮説以外では、ニューロキニン1(英語版)(NK1)周辺の研究がなされている。サブスタンスP受容体アンタゴニストのアプレピタントに抗うつ作用が報告された。 しかしながら、プラセボ対照⼆重盲検ランダム化臨床試験では有意差を示せていない。一方、既存抗うつ薬の慢性投与では海馬でのBDNFの発現を増加させることから、ニューロンの萎縮を防止するのではないかとBDNFも注目されている。
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