仙台都市圏における「新仙台弁」の形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 10:07 UTC 版)
「仙台弁」の記事における「仙台都市圏における「新仙台弁」の形成」の解説
高度経済成長時代に、仙台市は東北地方の拠点ブロックである支店経済都市として人口が激増した。東日本の各地を中心とした転勤族や進学者、移住者などの流入が進み、人口の流動が激しくなった。東日本の人は、他地域においては自己の方言を軽減させようという意識が高いため、仙台都市圏では急速に共通語・標準語が浸透した。それに伴い、元の住民の標準語化も進み、団塊の世代(核家族一世)以降において急激に仙台弁が廃れていった。 すると、核家族化した家庭では、親が方言を話さないことになり、団塊ジュニア(第二次ベビーブーム)以降世代の方言習得の機会も減った。しかし、学校教育の場では、核家族一世より上の世代の教師や、団塊の世代であっても大家族出身の教師、または仙台都市圏外の仙台弁地域出身の教師がいたため、核家族二世であっても仙台弁に触れることが出来た。すなわち、核家族二世は主に学校生活で、先生が上から話す常体の仙台弁のシャワーを浴びる一方、先生や先輩に対して同級生が仙台弁の敬体で話す場面に遭遇しないことになり、以下の特徴が見られるようになる。 家庭では共通語・標準語が用いられるため、アクセントは東京式アクセントになる 先生が話す常体の仙台弁を習得することにより、友人との間(常体)では、共通語・標準語のアクセントの上に仙台弁の語彙が並ぶ 仙台弁の敬体の習得の場面がないため、目上の人に対しては共通語・標準語の敬語を用いる このような過程を経て「核家族二世型仙台弁」(新仙台弁)が生まれた。但しこの新仙台弁は、その発生過程の限定的環境のせいもあり、旧仙台弁特有の語彙の全てを受け継ぐことが出来ず、また、それぞれの家庭環境によって旧仙台弁のどのくらいの語彙を受け継ぐかに差異があり、定まった方言の体を成しているとまでは言えない。極論すれば、旧仙台弁特有の語彙や言い回しが俚言化し、その俚言を取り入れた標準語・共通語の一形態が「新仙台弁」だ、とまで言える。 なお、この新仙台弁の話者は男性を中心としており、女性は共通語・標準語を話すことが多い。すでにほぼ共通語となった仙台都市圏では、仙台弁だとわかってあえて使用するのは男性くらいのためと考えられる。 核家族二世型仙台弁を話す若者の内、就職先の公用語が旧仙台弁である場合は、旧仙台弁に昇華していく傾向も見られる。 第一次産業と第二次産業の他、高齢者が主な顧客である医療・福祉業界でこの傾向が顕著である。また、仙台弁が廃れた仙台都市圏であっても、仙台市から離れるほど従来の仙台弁が残っている。
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