人種差別主義との関連性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 15:01 UTC 版)
疑似科学作家、および疑似科学的研究者と、彼らの反ユダヤ主義・人種差別・ネオナチズム的背景との間には多くの繋がりがある。彼らは、自身の信念を強化するために疑似科学を利用することが多い。最も優勢な疑似科学作家の一人は、フランク・コリン(英語版)である。彼はナチスを自称しており、著作の中でフランク・ジョセフと名乗っている。彼の著作の大半は、アトランティスや地球外生命体との遭遇、およびレムリアなどの古代文明をテーマにしており、白人至上主義的なニュアンスを含んでいることが多い。たとえば、コロンブス以前のヨーロッパ人が北アメリカに移住していたという主張や、アメリカ先住民の文明はすべて白人の子孫が興したものであるといった主張を展開している。 オルタナ右翼が疑似科学をイデオロギーの根拠としていることは、今に始まったことではない。反ユダヤ主義の基盤は、すべて疑似科学か科学的人種差別主義(英語版)に基づいている。サンダー・ギルマンは、ニューズウィーク誌に寄稿した記事の中で、疑似科学コミュニティの反ユダヤ主義的見解について解説している。 疑似科学の世界に登場するユダヤ人は、科学を利用して邪悪な目的を達成しようとする、病んでいて愚かであるか、あるいは、ばかばかしいほど頭のいい人々からなる、でっち上げられた集団である。他の集団も、彼らが自称するところの「人種科学」において、同様に描かれている。アフリカ系アメリカ人、アイルランド人、中国人、そして自分より劣っていることを証明したいあらゆる集団がそうである。 ネオナチや白人至上主義者は、自分たちの主張が単なる有害なステレオタイプではないことを「証明」する研究で、自身の主張を裏付けようとしている。たとえば、ブレット・ステファンズ(英語版)は、ニューヨーク・タイムズ紙にコラムを掲載し、アシュケナジムのユダヤ人は、あらゆる民族の中で最もIQが高いと主張した。しかし、ステファンズが引用した論文の研究方法と結論は、発表以降、何度も疑問視されているものである。その研究の著者のうち、少なくとも一人は、南部貧困法律センターによって白人ナショナリストと認定されていることが判明している。 科学誌のネイチャーは、ここ数年、特に集団遺伝学や古代のDNAを扱う研究者らに対して、研究を悪用しようとする過激派について警告する論説を何度も掲載している。ネイチャー誌に掲載された記事『Racism in Science: The Taint That Lingers』によると、20世紀初頭の優生学的疑似科学は、アジアやヨーロッパの一部からの移民を阻止しようとした米国の1924年移民法のように、公共政策に影響を与えるために利用されてきたという。「人種」は、科学的に妥当な概念ではないということが研究によって繰り返し示されているにもかかわらず、一部の科学者は「人種」間の測定可能な生物学的差異を探し続けている。
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