予算審議の流れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 01:59 UTC 版)
本予算審議の流れは、基本的に以下のようになる。 衆議院には予算先議権が認められているため、予算案は、まず、通常国会の召集日に内閣から衆議院に提出され、予算委員会に付託される。本会議において、総理の施政方針演説の際、財務大臣は財政演説を行い、その演説の中で予算の説明を行う。委員会では、財務大臣が趣旨説明を、財務副大臣が補足説明をそれぞれ行う。 そして、おおむね2~3日にわたり全閣僚が出席し、基本的質疑が行われる。この際は、各会派の質問が一巡するまでの間、NHKではNHK総合テレビジョン及びNHKラジオ第一放送にて、災害報道を除く全ての通常番組の放送を一切中止して国会中継が優先して放送されるため、与野党の有力議員が質問に立つことが多い。首相を含めた全閣僚と与野党が直接対峙して連日論戦を交わす、国会の花形となっている。 その後、委員による一般質疑が2週間程度続くが、その間も適宜(週1~2回程度)、時の政治課題に関する集中審議として総理や担当閣僚出席のもと質疑が行われる。更に地方公聴会、及び国会法51条2項により義務付けられている中央公聴会も開催される。首相が出席する集中審議はNHKで中継されるなど注目度が高く、また公聴会のうち特に中央公聴会は採決の前提と位置付けられているため、これらの日程を巡って与野党の攻防が展開される。公聴会では、1日半に渡り、各党が推薦する経済学者、労働組合の代表、その他時の政治課題を反映した公述人が公述を行い、委員の質疑を受ける。 時には、スキャンダル等が明らかになったことにより、それについて参考人招致や証人喚問が実施されることもある。 予算審議も終盤になると、各省庁ごとに予算審議を行うため分科会が開催される。通例、所管省庁ごとに最大8つの分科会が設けられ、約1日半にわたって審議される(分科会以降のプロセスではNHKの放送はないが、ネット配信は行う)。分科会と所管省庁は以下のとおり。 第一分科会:皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省 第二分科会:総務省 第三分科会:財務省 第四分科会:文部科学省 第五分科会:厚生労働省 第六分科会:農林水産省及び環境省 第七分科会:経済産業省 第八分科会:国土交通省 そして、最後に全閣僚出席のもとで締めくくり質疑を経て、各党各会派の代表者が予算の賛否について意見を述べる討論を経て採決に付され、予算委員会での審議は終わる。衆院予算委での審議は、おおむね15日前後の審議日数で、70時間前後となるのが通例である。 本会議においても、予算委員長報告・各党各会派代表者による賛否についての討論を行った後、記名投票で採決に付され、賛成多数であれば、予算が衆議院を通過する。3月2日までに衆議院を通過すると、憲法の規定により、参議院で議決されなくても年度内に自然成立することになり、ここでも審議日程の決定について与野党の攻防が展開される。 参議院においても、衆議院とほぼ同じような手続で審議されるが、趣旨説明は、衆議院通過前に予備審査として行われることが通例である。各省庁別の予算の審議は分科会ではなく、各委員会に該当部分を委嘱し、審議の上それを報告させるという形を取っている(委嘱審査)。なお、予算が4月4日まで成立しないと、各省庁の歳出に影響が生じることとなっているため、審議の遅れに伴い暫定予算が組まれることもある。 参議院で衆議院と異なった議決をした場合、衆議院は両院協議会を求めなければならないが、協議が成立しないときは、衆議院の議決が国会の議決とされることとなっている。そのため、参議院で予算が否決されたことは数例存在するが、いずれの場合も協議が成立せず、予算は原案通り可決となっていることが通例である。
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