乙号電車
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乙号電車(おつごうでんしゃ)は、池上電気鉄道が1922年に2両導入した電車(木造2軸ボギー電動客車)。車両番号はデハ1・デハ2である。現在の東急池上線にあたる路線で使用されたのち、1931年に全車廃車された。 1922年10月6日の池上電気鉄道第1期線池上駅 - 蒲田駅間開業にともない、駿遠電気(後に静岡電気鉄道を経て静岡鉄道)から譲受した車両である。本来は、新造の甲号電車を導入する予定だったが、設計が間に合わず、急遽駿遠電気から22・24号の2両を調達し開業に間に合わせた。池上電気鉄道では乙号電車と称し車両番号はデハ1、デハ2とした。 書類上では1922年5月に日本車輌製造で製造された車両で、新車同然の車両を譲受したことになるが、池上電気鉄道の項にあるように実際は中古車であったとされている。現在の函館市電などでもそうであるが、地方鉄道や軌道系事業者では書類と実車が合わないケースが常態化しており、譲渡された車両が本当に車籍簿通りの新車であったのか確実な証拠はない。 「池上電気鉄道#歴史」も参照 電装品は東洋電機製造製で、主電動機は50馬力のものを2基搭載していた。長さ12m級の小形木造車体で、乗降は前後のオープンデッキから行った。前後に設けたトロリーポール(集電装置)から集電したが、のちにトロリーポール1本・パンタグラフ1個に改造された。連結器は池上電気鉄道入線時には撤去されていた。 デハ200形の導入によって1930年に、伯陽電鉄(後の日ノ丸自動車法勝寺電鉄線)へ貸し出され、同社デハ4・デハ5(1958年にデハ201・デハ203へ改番)となった。その後、1931年には正式に譲渡され、1967年の同線廃線まで使用された。 なお、デハ203(元デハ2)が廃止後は同線の終点法勝寺駅の近隣に位置する、鳥取県西伯郡南部町の南部町立西伯小学校で静態保存されていたが、2011年に「旧日ノ丸自動車法勝寺鉄道車両 附関連資料一括」として鳥取県保護文化財の指定を受けたことから、2012年度 - 2013年度の間に西日本旅客鉄道(JR西日本)後藤総合車両所で後藤工業(JR西日本の関連会社であるジェイアール西日本テクノスの子会社)による復元作業を実施し、修復完了後に一般公開を予定するとした。修復完了後の2015年(平成27年)11月に、西伯小学校隣に位置する南部町公民館さいはく分館に新たに設けられた「法勝寺電車ひろば」で保存・展示を再開している。
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