世界チャンピオンによる暴力行為も発覚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 03:21 UTC 版)
「女子柔道強化選手への暴力問題」の記事における「世界チャンピオンによる暴力行為も発覚」の解説
9月11日には全柔連から暴力問題に関する再調査を求められていた天理大学が、大野が主将に就任した昨年11月以降における暴力行為の有無に関して新たな聞き取り調査を柔道部全部員93名のうち89名から行った結果、すでに判明している3度にわたる暴行の際に暴力を振るっていないとされた大野も、別の暴力行為に加担していたことを明らかにした。それによれば、5月28日の練習後に柔道部の寮にある「待機部屋」に1年生全員を集めて、4年生が1年生を数回平手打ちしたのに加え足を1回蹴ったという。この際に大野も1年生を2回平手打ちにした。また、4年生に1年生を『指導』するように命じられた2年生5名と1年生2名も1年生を平手打ちにした。大学側は今回新たに判明した暴力行為に対して、大野を含めた4年生5名を9月10日付けから30日間の停学、2年生5名に14日間の停学、1年生2名に譴責処分をそれぞれ下した。この件に関して副学長の山田は「練習中に気を抜くとけがをする恐れがある。1年生に気合を入れようとする指導の中で手が出てしまった。」と釈明するとともに、部内における暴力の常態化を強く否定した。当事者である大野は「全柔連が暴力行為を排除している中で、自分がたたいたことは誠に申し訳なく、反省している。出直していきたいと思っている。」と話した。なお、大野の出身地である山口市は大野が世界選手権で優勝したことを祝す横断幕を撤去した。また、大学側は学長である飯降政彦名義で今回の一件を謝罪するとともに、暴力行為に関してさらに遡って調査を行うか否かを、外部有識者を含めた「天理スポーツ規範検証委員会」で検討することになった。 一方、全柔連専務理事の近石は大学側の再調査結果に対して、「隠蔽はなかったと思う。新たな調査で判明したことがあった。暴力は常習的なものではなかった。」との認識を示した。副会長の山下は「大変な衝撃を受けた。先輩が後輩に暴力を振るう方が根は深く、指導者も気付かない。柔道界で暴力は絶対に許されないことを全員が再認識するべきだ。」と語った。また、18日に開かれる懲罰委員会でこの問題に関与した指導者や学生の処分を検討する。 9月13日に行政改革担当大臣の稲田は、10日に内閣府公益認定等委員会が今回の1件に関する原因や経過をまとめた報告書の提出を、1ヶ月後をめどに全柔連に求めていたことを明らかにした。稲田は「全柔連の暴力問題と時を同じくして暴力行為があったことは非常に残念だ。すごく根が深い問題だ。」と述べた。 9月14日にはかつて2度ほど天理大学の監督を務めていた正木嘉美が、監督を解任された土佐に代わって新監督に復帰することが明らかになった。 9月16日には全柔連の「暴力の根絶プロジェクト」が会合を開き、今回の暴力問題を受けて9月28日と29日に開催される学生体重別に出場する全ての大学の指導者や選手など約3,000名を対象に暴力行為に関するアンケート調査を実施することに決めた。事務局長の宇野は「家族の意見も聞きたい。同じことを今後起こさないためにどうするべきか。アンケートに抑止力を期待する。」と説明すると、プロジェクト責任者の山下副会長も「アンケートは毎年やる覚悟で粘り強く取り組む。ピンチをチャンスに変えたい」と決意の程を述べた。 9月17日にJOCは、10月に中国の天津で開催される東アジア競技大会柔道競技に出場予定だった天理大学所属の2名が暴力行為には関わっていなかったことが確認できたとして、代表入りを承認した。
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