一般化されたムーンシャイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 08:40 UTC 版)
「モンストラス・ムーンシャイン」の記事における「一般化されたムーンシャイン」の解説
コンウェイとノートンは、1979年の論文で「ムーンシャインは恐らくモンスターに限るものではなく、同様の現象が他の群でも起こりうるのではないか」と示唆している。1980年に、ラリッサ・クイーン(Larissa Queen)たちは、実際には、多くの散在群(英語版)の次元の単純な組み合わせから多くの Hauptmodul (McKay-Thompson series Tg) を構成することができることを発見した。 T1A モンスター群(Monster group) M T2A ベビーモンスター(英語版)(Baby monster) F2 T3A フィシャー群(英語版)(Fischer group) Fi23, Fi24 T3C トンプソン群(英語版)(Thompson group) Th = F3 T4A コンウェイ群(英語版)(Conway group) Co1, Co2, Co3 T4A マックローリン群(英語版)(McLaughlin) McL T5A 原田・ノートン群(英語版)(Harada-Norton group) HN = F5 T6A フィシャー群(英語版)(Fischer group) Fi22 T7A ヘルド群(英語版)(Held group) He = F7 T10A ヒグマン・シムス群(英語版)(Higman-Sims group) HS 1987年、ノートンはクイーンの結果と彼の計算を組み合わせ、一般化されたムーンシャイン予想を定式化した。この予想は、モンスターの各々の元 g、次数付きベクトル空間 V(g)、各々の元と元の交換子 (g, h)、に対して、正則函数 f(g, h, τ) を関係づける規則があり、次の条件を満たすという予想である。 各々の V(g) は、M の点である g の中心化元の次数付き射影表現である。 各々の f(g,h,τ) は、定数函数かもしくは、Hauptmodul である。 各々の f(g,h,τ) は、M の元 g, h の同時共役の下に不変である。 各々の (g,h) に対し、V(g) 上の線型変換へのリフト h が存在し、f(g,h,τ) の表現が次数付きトレースによって与えられる。 任意の ( a b c d ) ∈ S L 2 ( Z ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}}\in SL_{2}(\mathbf {Z} )} に対し、 f ( g , h , a τ + b c τ + d ) {\displaystyle f\left(g,h,{\frac {a\tau +b}{c\tau +d}}\right)} は f ( g a h c , g b h d , τ ) {\displaystyle f\left(g^{a}h^{c},g^{b}h^{d},\tau \right)} に比例する。 f(g,h,τ) が j に比例することと、g = h = 1 とは同値である。 この予想は、コンウェイ・ノートンの予想の一般化である。その理由は、ボーチャーズの定理が、g が恒等元として設定されているときの場合に関係しているからである。今日まで、この予想は未解決である。 コンウェイ・ノートンの予想のように、一般化されたムーンシャイン予想もまた、物理的な解釈をもっていて、1988年にディクソン・ギンスパーク・ハーヴィ(Dixon-Ginsparg-Harvey)により提案されたDixon, Ginsparg & Harvey (1989)。かれらはベクトル空間 V(g) をモンスター対称性を持った共形場理論のツイストされたセクターとして、また、函数 f(g,h,τ) の乗法的数列の種数 1 を分配函数の種数として解釈した。そこでは、ツイストされた境界条件に沿って貼り合わせることでトーラスを作ることができる。数学のことばでは、ツイストしたセクターは既約なツイストした加群で、分配函数は主モンスターバンドルを持つ楕円曲線に対応し、バンドルの同型タイプは 1-サイクルの基底(basis)、つまり可換な元のペアに沿ったモノドロミーにより記述される。
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