モンストラス・ムーンシャインとは? わかりやすく解説

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モンストラス・ムーンシャイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/13 20:34 UTC 版)

数学において、モンストラス・ムーンシャイン: monstrous moonshine)もしくはムーンシャイン理論: moonshine theory)とは、モンスター群モジュラー函数、特に j-不変量との間の予期せぬ関係を指し示す用語、およびそれを記述する理論である。1979年にジョン・コンウェイサイモン・ノートン英語版(Simon Norton)により命名された。今ではその背景として、モンスター群を対称性として持つある共形場理論があることが知られている。コンウェイとノートンによって考案されたムーンシャイン予想は1992年、リチャード・ボーチャーズにより、弦理論頂点作用素代数英語版(vertex operator algebra; VOA)、一般カッツ・ムーディ代数を用いて証明された。

歴史

1978年、ジョン・マッカイ英語版(John McKay)は、j (τ)フーリエ展開オンライン整数列大辞典の数列 A000521

この節は内容が専門的であり、一般の閲覧者にはわかりにくくなっているおそれがあります。 専門用語をわかりやすい表現にするための修正をして下さる協力者を求めています2023年10月

2007年、エドワード・ウィッテンは、AdS/CFT対応から、 (2+1)-次元反ド・ジッター空間の純粋量子重力と、臨界正則CFTの間の双対性が導かれることを示唆した[6]。(2+1)-次元の純粋重力は局所自由度を持たないが、宇宙定数が負のときはBTZブラックホール解が存在するために非自明なことが起きる。ハーン(G. Höhn)により導入された臨界CFTは、低エネルギーではヴィラソロプライマリー場(Virasoro primary fields)を持たないということにより特徴づけられ、ムーシャイン加群が一つの例となっている。

ウィッテンの提案[6]に従うと、AdS空間内の最大の負の宇宙定数を持つ重力は、中心電荷

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2010年、江口徹、大栗博司、立川祐二は、K3曲面上の楕円種数が、有質量状態英語版の重複度がマチュー群 M24英語版(Mathieu group M24)の既約表現の単純な結合のように見えるような、 N=(4,4) 超共形代数英語版の指標へ分解できることを発見した[要出典]。このことは、M24 対称性を持つ対象空間としてK3曲面を持つシグマモデルの共形場理論が存在することを示唆している。しかし、向井・近藤分類によると、シンプレクティック自己同型による任意のK3曲面上のこの群には忠実表現がなく、ガバルディエール(Gaberdiel)、ホーエンネッガー(Hohenegger)、ボロパト(Volpato)によると、任意のK3シグマモデルの共形場理論には忠実表現が存在しない[要出典]ため、基礎となるヒルベルト空間上に作用が現れないことはいまだに謎のままである。

マッカイ・トンプソン級数の類似で、チェン(M. Cheng)は、多重乗法函数英語版(multiplicity function)と M24 の非自明元の次数付きトレースの両方とも、モックモジュラー形式英語版(Mock modular form)を形成することを示唆した[要出典]。2012年、ガノン(Gannon)は、重複度の最初のもの以外は M24の表現の非負整数係数の線形結合であることを証明し[要出典]、ガバルディエール(Gaberdiel)、パーソン(Persson)、ローネレンフィッチ(Ronellenfitsch)、ボロパト(Volpato)は、一般ムーンシャイン函数のすべての類似物を計算し、マチュー・ムーンシャインの背後に正則共形場理論の類似物が存在することを強く示唆した[要出典]。2012年には、チェン(Cheng), ダンカン(Duncan), とハーヴィー英語版(Harvey)は、モックモジュラー形式がナイエメイヤー格子(Niemeier lattice)に付随して現れる、アンブラル・ムーンシャイン英語版現象の数値的な証拠を集めた[要出典]。A124 格子の特別な場合からマチュー・ムーンシャインが導かれるが、一般に、未だこの現象は幾何学的な解釈は存在しない。

何故「モンストラス・ムーンシャイン」なのか?

「モンストラス・ムーンシャイン(monstrous moonshine)」という言葉は、コンウェイにより命名された。彼は、1970年代にジョン・マッカイ英語版(John McKay)から の係数(つまり、196884)は、グライス代数英語版(Griess algebra)の次元に正確に一致する(したって、モンスター群の最小な忠実複素表現の次数よりも 1 だけ大きい)と聞いたときに、これは気が狂いじみていて、馬鹿げた考え方であるいう意味の"moonshine"という返答をした[10]。このように、この言葉は、モンスター群 M を意味するだけではなく、M とモジュラ函数の間の本質的な関係が馬鹿馬鹿しく見えることをも意味している。

しかしながら、「ムーンシャイン」はアメリカにおける密造ウィスキーの俗語でもあり、事実、この意味からも同じように説明される。モンスター群は、1970年代に数学者ジャン=ピエール・セールアンドリュー・オッグ英語版(Andrew Ogg)、ジョン・G・トンプソンにより、 SL2(R) の部分群による双曲平面英語版として研究された[要出典]。特に、SL(2,R) の中のモジュラ群 Γ0(p) [注 1]正規化因子 Γ0(p)+ が研究された。セールらは、リーマン面を双曲面を Γ0(p)+ で割った商とみることにより、(リーマン面の)種数がゼロとなることと、p が 2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 41, 47, 59, 71 のいづれかであることと同値であることを発見した。オッグが後日にモンスター群について聞いたときに、これらは M のサイズの第一因子になることに気付き、彼はこの事実を説明できた人にジャックダニエルのボトルを進呈すると論文に記載した[11]

脚注

注釈

  1. ^ 与えられた正の整数 r に対し、モジュラ群 Γ0(r) は次のように定義される。
    素数 p に対して、集合
    (ここに Sτ = −1/τ であり、Tτ = τ + 1 とする)は、Γ0(r) の基本領域である。

出典

参考文献

外部リンク




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