一次感染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:18 UTC 版)
SARS、MERS、COVID-19の病因は、初期感染中の単球、マクロファージ、B細胞の感染で発生する。ADEに関連している可能性がある。一部では、軽症のCOVID-19が重大な症状を伴って重症化する過程においてADEが重要なステップであると考えられている。ADEは、Th1サイトカインであるIL-2、TNF-α、IFN-γの減少、およびTh2サイトカインであるIL-10(英語版)、IL-6、PGE-2、INF-αの増加、ならびにSTAT経路の阻害を伴って発生する。このプロセスは、COVID-19感染を特徴付ける多臓器での汎発的な免疫細胞感染およびサイトカインストームを誘発する可能性がある。ADEは、免疫細胞のアポトーシス、T細胞減少症、肺でのマクロファージと好中球の蓄積を伴う炎症性カスケード、過剰な免疫反応であるサイトカインストーム等の免疫系の調整不全を説明出来る可能性がある。他にもSARSとMERSに関する同様の仮説が幾つか提示されている。 SARS-CoVとMERS-CoVは、不明確な機序による攻撃的な炎症を含むCOVID-19の免疫病理学的(英語版)効果と同様に、急性肺障害に寄与する。この研究では、ワクチン接種されたSARS-CoV/マカクモデルと、最終的にSARSで死亡した重症患者との間の対応が示されている。この論文の著者らは、Sタンパク質を標的とするIgG抗体がウイルスの攻撃後にサルの急性肺損傷を引き起こすと結論付けた。ウイルスの除去前にこの抗体が存在すると、MCP1(英語版)とIL-8の産生が促進され、炎症性単球/マクロファージの動員と蓄積が引き起こされる。重症患者の血清にも同様の特徴が見られる。しかし、Fcγ受容体を阻害するとこれらの免疫病理学的効果は軽減される。これらのデータは、重症のSARS患者やワクチン接種マカクの感染における免疫を介した急性肺損傷の幾つかの特徴を示している。これは、ウイルスのSタンパク質を標的とするIgG抗体が、ヒトおよび動物の免疫病理学的発症の共通の引き金となる事を意味している。
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