特殊な感染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/12 12:13 UTC 版)
菌血症、敗血症、ウイルス血症 血流中へ病原体が侵入することを菌血症、その結果全身での感染を生じる重症疾患を敗血症と呼ぶ。しばしば免疫力の低下や生体防御機構の破綻を背景とする。 日和見感染 健常人では保菌・定着しか起こさない非病原性あるいは弱毒性の病原体が、宿主の免疫低下に応じて感染を生じるもの。 院内感染(病院内感染)、市中感染 医療機関での滞在中や治療中に感染源と接触した結果生じた感染を院内感染と呼ぶ。特に薬剤耐性菌や日和見感染が大きな問題となる。医療機関において治療行為に用いられる人工呼吸器や中心静脈カテーテル、膀胱留置カテーテルの使用による感染は医原性感染とも呼ばれるが、広義には院内感染に含まれる。院内感染との対比で、医療機関外の一般環境(市中環境)で起こった感染を市中感染と呼ぶ。 内因感染、外因感染 宿主に常在している微生物によって症状を起こす場合を内因感染(内因性感染)と呼ぶ。易感染宿主に起こる日和見感染、菌交代症、異所性感染がこれに該当する。これに対し、生体外から進入した微生物によって感染が起こるものを外因感染(外因性感染)と呼ぶ。 一次感染、二次感染 最初にある病原体による感染が起こった後で、別の病原体による感染が起こった場合、前者を一次感染、後者を二次感染と呼ぶ。二次感染は日和見感染である場合が多い。また伝染病において見られる、最初の宿主での感染を一次感染、そこから次の宿主に伝染して起こった感染を二次感染と呼ぶ場合もある。 混合感染(複合感染、多重感染) 二種類以上の病原体が同時に感染する。 持続感染、慢性感染、潜伏感染 いずれも長期にわたって感染が続くもの。感染中にほぼ完全に病原体の増殖が止まり無症候である場合を潜伏感染、病原体の増殖がゆるやかに続く場合を慢性感染、長期にわたって何らかの症候が出つづける場合を持続感染と呼ぶが、必ずしもこれらの使い分けは明確ではない。 局所感染、全身感染 局所感染(local infection)は体の一定の部分のみに感染が限局している場合をいい、これに対し、病原体が血液中を流れ全身に広がっている場合を全身感染(generalized infection)という。 異所性感染 常在細菌が本来の定着部位と別の場所で感染すること。尿管における大腸菌の感染や、レンサ球菌による心内膜炎などが知られている。 細胞内感染 病原体が細胞の内部に感染すること。ウイルス、クラミジア、リケッチアなどの偏性細胞内寄生体の他、チフス菌、レジオネラ、リステリア、結核菌など一部の細菌にも見られ、これらの細菌を細胞内寄生細菌と呼ぶ。
※この「特殊な感染」の解説は、「感染」の解説の一部です。
「特殊な感染」を含む「感染」の記事については、「感染」の概要を参照ください。
- 特殊な感染のページへのリンク